最新記事

ビットコイン

ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは

2021年3月17日(水)11時51分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

新規のビットコインは、ブロックチェーン上での取引を承認する「マイナー」と呼ばれる人たちに対する報酬として市場に供給される。4年に1度、マイナーに対する報酬が半減される半減期という一大イベントがあり、段階的に新規のビットコイン供給量が少なくなる仕組みになっている。1ブロック承認するごとにもらえる報酬は50BTCから始まり、3回の半減期を経て、現在は6.25BTCとなっている。

こうしたビットコインの供給量の上限と新たな供給量の関係に注目した分析は、「ストック・フロー(S2F)」と呼ばれ、ツイッターアカウント名「PlanB」によって提唱された。

ストック・フロー率は、 ビットコインの総供給量(ストック)と新たな供給量(フロー)を基に算出される。高ければ高いほど、分析対象のコモディティの希少性が増して価値が高まることを意味する。


ストック・フロー率=ストック/フロー

例えば、ストック・フロー率が60である場合、現在見られる新規供給量のペースで総供給量に到達するために60年かかることを意味する。ストック・フロー率が高ければ高いほど希少性が高いことを意味する。

現在、コモディティの中で一番ストック・フロー率が高いのは金(63.48)だが、2020年5月の半減期後、ビットコイン(27.97→55.94に上昇)がその水準に迫っている。

2020年5月の半減期前後のビットコインおよび他の資産のストック・フロー率

chino_stockflow.png


ストック・フロー率にビットコイン 価格の推移を重ね合わせると、両者の動きがほぼ同じであることが分かる。

ストック・フロー率(黒線)、ビットコイン価格(色のついた上の線)

chino_sfprice.png


このようにストック・フローから見ると、現在のビットコインの6万ドルという価格は「正当化」されるようだ。ちなみにストック・フローによると、ビットコインの価格は2022年には10万ドルに到達する。

■実用性
金や銀、銅、原油、小麦などの商品は希少性だけでなく実用性があるからこそ本源的な価値がある。そして、ビットコインには実用性がないから本源的な価値がないという見方がある。金の熱狂的な投資家であるピーター・シフ氏は、かつて以下のようにビットコインを批判した。

「ビットコインを使っても何もすることはできない。あなたが欲しい他の何かとトレードする以外はね。だから、本質的にビットコイン自体には価値がない」

しかし、以下の3つの観点で考えるとビットコインにも実用性があると考えられる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米鉱工業生産、4月製造業は0.3%低下 市場予想下

ビジネス

米4月輸入物価、前月比0.9%上昇 約2年ぶり大幅

ワールド

EXCLUSIVE-トルコ、予算削減額は予想上回る

ビジネス

米金利維持が物価目標達成につながる=クリーブランド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 3

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃のイスラエル」は止まらない

  • 4

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 5

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 6

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 7

    2023年の北半球、過去2000年で最も暑い夏──温暖化が…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    仰向けで微動だにせず...食事にありつきたい「演技派…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中