最新記事

ビットコイン

ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは

2021年3月17日(水)11時51分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

Avosb/ISTOCK

<ビットコインに6万ドルの価値があると考えているのは誰か。なぜそんな価値があると考えられるのか>

ビットコインが一時6万ドル(約650万円)を突破した。米国の機関投資家や大手企業が牽引すると言われる今回の強気相場。イーロン・マスク氏率いるテスラ・モーターズもビットコイン購入を明らかにした今、まさに「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」が買いが買いを呼ぶ展開となっている。

しかし、投資家は一体何を根拠に1ビットコイン(BTC)に6万ドルを支払っているのだろうか? ビットコインが5万ドルまで上昇した背景と共に、そもそもビットコインになぜ価値がつくのか様々な考え方を紹介する。

6万ドルまで上昇した背景

6万ドルという数字は、前回の強気相場である2017年につけた当時の最高値2万ドルの3倍で年初来では100%以上のプラスだ。また、2020年3月12日に欧米では「暗黒の木曜日」と呼ばれるコロナショックが起きた時、ビットコインは一時4000ドル近くまで下落したが、1年経った今、当時10倍以上の水準まで急騰した。

背景には何があったのだろうか?

真っ先にあげられるのは、米国の機関投資家と大手企業によるビットコイン購入ラッシュだろう。2020年5月の「伝説」のマクロ投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏によるビットコイン投資表明を皮切りに、年末年始にかけて米国勢のビットコイン投資熱は一気に高まった。

以下は、ビットコイン購入を表明した主な米国の機関投資家と大手企業だ。

chino_toushika.png

(Kraken Intelligence集計)

ビットコイン価格の推移

chino_btcprice.png

(Kraken Japan)


ポール・チューダー・ジョーンズ氏に続いたのがナスダック上場のマイクロストラテジー社だ。同社のマイケル・セイラーCEOは、将来的なインフレが見込まれる中で企業として余剰資産を現金で保有することが必ずしも安全ではないと考え、余剰資産を全てビットコインに交換。その後も同社は新株予約権付社債を発行するなどしてビットコインを購入し続ける姿勢を見せ、2021年3月時点で総額9万859BTCを保有している。

また、ジョージ・ソロス氏の右腕と言われるスタンレー・ドラッケンミラー氏の発言や生保初となるマスミューチュアルの発表など、年末にかけて「インフレヘッジとしてビットコインを買う」はウォール街で話題となった。そして、2021年2月、テスラ参戦が米証券取引委員会(SEC)の文書から明らかになり、さらなるビットコイン買いの起爆剤となった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、1万件減の22.2万件 労働市

ビジネス

「ECB利下げ開始確実」とポルトガル中銀総裁、6月

ビジネス

ECBは利下げ急がず、6月以降は慎重に=ラトビア中

ビジネス

英中銀、利下げ待つべき 物価圧力の緩和確認まで=グ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 3

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃のイスラエル」は止まらない

  • 4

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 5

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 6

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 7

    2023年の北半球、過去2000年で最も暑い夏──温暖化が…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    仰向けで微動だにせず...食事にありつきたい「演技派…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中