東日本大震災から10年、犠牲者約2万人以上 コロナ禍で2年ぶりの政府主催の追悼式
燃料デブリの取り出しを延期
津波で冷却システムが停止した東京電力福島第1原発では、3基の原子炉でメルトダウン(炉心溶融)が起き、深刻な放射能汚染が広がった。
福島県内の12市町村が避難指示区域となり、10万人以上の住民が避難を余儀なくされた。その後は除染作業などが進み、避難指示は徐々に解除されたが、過疎化の進展や就職先の少なさもあり、住民の帰還は順調に進んでいない。
廃炉の工程表をまとめた政府と東京電力は、2021年中にデブリ(溶け落ちた核燃料)の取り出しを始める予定だった。しかし、高い放射線量などで作業は難航。1年程度延期することを決めた。タンクに貯蔵している処理済み汚染水の処理方法についても、政府は今月9日、事実上の先送りを閣議決定した。
事故から10年目を迎えた11日、原発から北へ約10キロ離れた浪江町の大平山霊園には、人々が献花と慰霊に訪れていた。地震が発生した午後2時46分、彼らは自宅や大切な人をのみこんだ海を見つめ、静かに祈った。
ほぼ同じ時刻に政府が東京の国立劇場で開いた追悼式典には、天皇・皇后両陛下が出席した。天皇陛下は「困難な状況にある人々が、誰一人取り残されることなく、1日でも早く平穏な日常の暮らしを取り戻すことができるように、復興の歩みが着実に実を結んでいくよう、これからも私たちみなが心を合わせて、被災した地域の人々に末永く寄り添っていくことが大切であると思います」とお言葉を述べた。
政府がこれまでに投じた復興費はおよそ31兆円。阪神淡路大震災復興事業費の2倍程度に相当する。
*内容を追加しました。
(山光瑛美、Irene Wang、Kim Kyung Hoon、竹本能文 記事執筆:久保信博 編集:石田仁志 )
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