最新記事

アメリカ政治

米上院、退任後のトランプ弾劾裁判は合憲と判断 審理継続へ

2021年2月10日(水)09時19分

米議会上院は、トランプ前大統領を弾劾裁判にかけることの合憲性について採決を行い、過半数が合憲との主張に賛成票を投じた。写真は米議会議事堂内部(2021年 ロイター/Al Drago)

米議会上院は9日、1月に発生した連邦議会占拠事件を扇動したとして下院で弾劾訴追されたトランプ前大統領の弾劾裁判を開始し、退任したトランプ氏を弾劾裁判にかけることの合憲性について採決を行い、過半数が合憲と判断した。これにより、審理はそのまま継続される。

トランプ氏の弁護団は退任後の大統領を弾劾裁判の対象にするのは違憲だと主張し、審理の冒頭でその合憲性の判断を求めたため、採決が行われた。検察官役を務める民主党は合憲としていた。

採決の結果は、賛成56票、反対44票。共和党からはビル・カシディ議員など6人が賛成に回った。

採決の前には、検察官役の民主党によって、1月6日のトランプ氏支持者による議会占拠の様子やトランプ氏の扇動的な演説の一部をまとめた動画が流された。

大統領退任後に弾劾裁判に臨むのはトランプ氏が史上初。有罪評決には出席議員の3分の2の賛成が必要で、共和党から17人造反しなければならないためハードルは高い。一方、共和党はトランプ氏への支持を巡り大きく分断されているが、今回の裁判は同党が今後どの方向に進むかの手がかりを示す可能性がある。

10日には検察官役の民主党が冒頭陳述を実施。4日間にわたる合計32時間の審理時間は、民主党と共和党に半分ずつ割り当てられている。

裁判で検察官役を務める民主党の下院議員9人はこれまでに趣意書で「トランプ氏の行為について確かな証拠がある」と強調。「トランプ氏は自らの行為についてまっとうな言い訳も弁護もできない。責任を逃れようとしても全くの無駄だ」と指摘。

一方、トランプ氏の弁護団は憲法で保障されている表現の自由を主張。連邦議会占拠の扇動も否定している。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・さようならトランプ、負債3億ドルと数々の訴訟、捜査が待っている
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比3.4%上昇に鈍化 利下げ期

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中