最新記事

感染拡大

コロナ禍での休暇シーズン、どう過ごす? 一足先に感謝祭を終えたカナダは感染拡大で

2020年11月20日(金)16時00分
松丸さとみ

今年は、ニューヨークで恒例のメイシーズの感謝祭パレードもライブ開催は中止となった...... REUTERS/Caitlin Ochs

<カナダの感謝祭は10月で感染状況を悪化させた。感謝祭を来週に控えた米国人の心中は複雑だ......>

カナダの感謝祭は10月第2月曜日、感染を拡大させた

毎年11月の第4木曜日は、米国で冬の休暇シーズンの幕開けとなる「感謝祭」だ。今年は11月26日にあたる。しかし1カ月前の10月に終わったカナダでは感謝祭をきっかけに新型コロナウイルスの感染者数が急増しており、米国でも、例年なら家族が集まるこの時期をどう過ごすか悩ましいところのようだ。

カナダでは、感謝祭は10月の第2月曜日に祝われ、今年は10月12日だった。米タイム誌のアレックス・フィッツパトリック氏は11月12日付の記事で、米国で感謝祭をきっかけに感染がさらに拡大するか否かを占うには、お隣のカナダが参考になるとしている。

感謝祭の前からすでに感染者数が増加傾向にあったものの、カナダの複数の専門家は「間違いなく感謝祭が感染状況を悪化させた」との見解を示したと、フィッツパトリック氏は書いている。専門家の一人である、トロント大学の准教授で疫学者のローラ・ロゼラ博士はその根拠として、感謝祭の後、ちょうど新型コロナの潜伏期間と重なる2週間後にカナダで感染者数の最多記録が更新されたことを挙げている。

matumaru1120cc.jpg

同博士はさらに、カナダではコロナ感染の有無を調べる検査を受けたい人の数があまりにも多くなり、検査を受けられるための条件が厳しくなったと説明。そのため受けられない人がかなり多いことから、実際の感染者数は爆発的に増えていることが示唆されると指摘している。

また、ケベック州とオンタリオ州では、感謝祭を前に一部地域である程度の外出規制を実施していたが、それでも感染者数は減らなかった。マギル大学医学部准教授のマシュー・オウトン博士はこの理由について、感謝祭のせいで感染者数が増えたからだと説明した。

なお、感謝祭から1カ月以上たった現在、カナダでは引き続き感染者数が増加しており、オンタリオ州が今週末から一部地域でロックダウンを実施すると見られている(カナダ公共放送CBC)。さらに、これまでコロナ感染者がまったくいなかったヌナブト準州で6日に初めて感染者が見つかって以来、18日の時点で感染者数は70に達しており、同準州は同日から2週間の予定でロックダウンに入っている(カナダ民放グローバルTV)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指

ビジネス

NY外為市場=ドル一時153円台に急落、介入観測が

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

イスラエル軍、ガザ攻撃「力強く継続」 北部で準備=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中