最新記事

ドイツ

2020年ドイツ人が最も恐れるのは......コロナではなくトランプ政治

2020年9月21日(月)14時30分
モーゲンスタン陽子

健康より経済への悪影響を懸念

ドイツ人の懸念はむしろ、パンデミックがもたらす経済的悪影響にあるようだ。2位の「生活費の高騰」51%は昨年の10位から8%増加し、過去6年で初めて「ドイツ人の7大恐怖」に再登場した。4位の「経済状況の悪化」48%も、昨年の14位から13%増え大幅に上昇した。

ドイツ人がトランプ大統領を恐れる原因は、その政治がもたらすドイツ経済への悪影響のようだ。

トランプがドイツ人の心配事1位となったのはこれで2度目だ。2018年の同調査では、調査開始以来最高値の69%が、トランプを懸念すべき存在と見なしている。

長年R+Vインフォセンターのアドバイザーを務めるハイデルベルクのルプレヒト・カール大学の政治学者マンフレッド・G・シュミット教授は、それを当然の結果だと指摘する。「トランプは彼の外交政策により、深刻な国際摩擦を繰り返し引き起こしている。特に顕著なケースは、中国との貿易紛争と、ドイツを含む同盟国に対する貿易と安全保障政策の攻撃だ。さらに米国の国際協力からの撤退、イランとの対立がある」と同教授は述べている。

難民・外国人への不安は減?

「政治家の仕事への不満」は昨年より7%下げ、40%の12位で、これは調査が始まって以来最低だった。新型コロナへの恐怖心が思ったより低いことからもわかるように、ドイツ国民はパンデミック下における政府の危機管理に比較的満足しているようだ。

2020年、それぞれ6位と7位につけている「外国人流入による緊張」43%、「難民のための国家の負担」43%だが、こちらは昨年よりそれぞれ12%、 13%下がっており、外国人に対するドイツ社会全体の恐怖感は下がった様相だ。しかし実際にはパンデミック発生に伴い外国人差別も増えており、現実との差も感じられる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、FRB引き続き利下げ視野

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

イスラエル軍、ガザ攻撃「力強く継続」 北部で準備=

ビジネス

米国株式市場=まちまち、FOMC受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中