最新記事

韓国

横領、虐待...「ナヌムの家」慰安婦被害者の施設で起こったこと

The House of Suspicion

2020年6月4日(木)11時30分
朴順梨(ライター)

なぜこのようなことが起きたのか。それは、韓国では慰安婦問題に対し善意による注目や寄付が集まりやすいこと、またナヌムの家は運営法人の母体が元は被害者支援ではなく、社会福祉事業参画のために設立された宗教法人であることが大きいのではないか。多額の寄付金が集まったことで、被害者なき後のビジネスを考え始めたのかもしれないが、それは善意の横領かつ二次加害にほかならない。

法人側は19日、仏教系新聞社のサイトに「運営を改善する」「真相調査をする」との声明を発表。25日から新施設長の募集を始めた。一方で「報道により誤解が広がっている」とも言い、4月に交代した新事務長は法人側の人選だ。「真相」はいつ明らかになるのか。こうしている間にも時間は過ぎ、被害者が癒やされないまま、分かち合いは遠のいていく。

<2020年6月9日号掲載>

【参考記事】「慰安婦」はいかに共通の記憶になったか、各国学生は何を知っているか

20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

「ECB利下げ開始確実」とポルトガル中銀総裁、6月

ビジネス

ECBは利下げ急がず、6月以降は慎重に=ラトビア中

ビジネス

英中銀、利下げ待つべき 物価圧力の緩和確認まで=グ

ビジネス

米新規失業保険申請、1万件減の22.2万件 労働市
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 3

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃のイスラエル」は止まらない

  • 4

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 5

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 6

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 7

    2023年の北半球、過去2000年で最も暑い夏──温暖化が…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    仰向けで微動だにせず...食事にありつきたい「演技派…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中