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表現の自由

『表現の不自由展』騒動がみせた日本の不自由と無頓着

2019年10月11日(金)16時30分
大橋 希(本誌記者)

――抗議は組織的なものもあったようだ。

検証は進められているようだが、最終的な結果はまだ出ていないと思う。電凸攻撃については、警察からさまざまなアドバイスをしてもらっている。集まったメールなどから判断する限り、同じような文面があり、雛型といえるものがあったようだ。同じ人が何度もやっているケースもあるかもしれない。

私個人としては、左だ右だという決めつけに興味はないが、ツイッターなどでは、「パヨク大村」「検証委員会もパヨク」みたいなことを言われている。だから、検証委員会でヒアリングをする対象として、世間から見て絶対に左ではない人を何人か入れたいと個人的には提案した。というのも大浦さんの作品は、右翼が見たら泣くのではないか?と思うような、日本的センチメントにあふれたものなので。大浦さんと、例えば一水会元最高顧問の鈴木邦男さんのような人とが対談したら、絶対盛り上がると思う。

――いろいろな意味で、次の議論につながる視点が出てきた。あとは補助金がどうなるかだが......。

訴訟になると思うので、それにどういう答えが出るか。普通に考えれば、憲法の保障する表現の自由の問題で、国が負けますよね。それを負けさせなかったら、日本はもう法治国家ではない。それと、ひろしまトリエンナーレ(20年開催)にも文化庁の助成金が出ると採択されているので、それがどうなるのかにも注目している。

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