最新記事

内部告発

中国の抗日戦争記念館元職員・方軍氏の告発──同館館長らの汚職隠蔽

2018年5月14日(月)13時28分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

館長らの腐敗の実態

まず抗日戦争記念館には「中国抗日戦争研究・平和教育基金会」というのがあり、この支援金(抗戦献金)を募って基金に充てるという制度がある。元館長らはこの支援金をネコババして、アメリカにマンションを買い、ひと儲けしようとしていたというのである。

その証拠にと、以下のFAXが添えられている。
endo180514fax1.jpg
アメリカの仲介者から抗日戦争記念館館長に送られてきたFAX(その1)

endo180514fax2.jpg
アメリカの仲介者から抗日戦争記念館館長に送られてきたFAX(その2)

これはアメリカで商売を仲介する人物から、張承均・元館長宛てに送られたビジネスの手順を書いたFAXである。

日本語訳の概略を以下に示す:

***************************

中国人民抗日戦争記念館
張承均館長先生

いま私はデンマークにいます。アメリカで会社を作る手順は以下のようになります。

(一) まずロサンゼルスで会社を作る。設立経費は約1200ドル。
(二) 会社名義で10棟ほどのマンションを購入する。約60万ドル。
(三) 中略
(四) 60万ドルのマンションについては、頭金の20万ドル以外、銀行から40万ドルを借りる。30年ローンを組めば、毎月の支払いは3000ドル前後となる。
(五) 10棟のマンションのうち、5棟は長期賃貸物件として、月3500ドルを回収できる目論見となる。ちょうどローンの支払いに使える。残りの5棟はホテルとして利用し、毎月1万ドルの収入が望まれる。運営コストを除けば、毎月7000ドルの利益、一年で8万ドル。したがって4年程度で投資を回収できる。その後このマンションは純利益となる。
(六) 現時点で必要なもの
     1.合弁会社の名前
     2.あなた方、取締役三人の名前(英字のピンインで)
     3.以上三人のパスポートのコピー
(七) 上記のものをできるだけ早くFAXで送ってほしい。そうすればすぐに計画に着手できる。
                    馬文平 拝
                    11月26日
(三人の取締役のうち一人はアメリカに赴き会社の経理を担当してほしい。)
(今後実際の運営は、貴館が指定する者が主導する)(筆者注:ここにある「貴館」とは「中国人民抗日戦争記念館」を指す。)

*******************************
以上が、抗日戦争記念館の館長らが、抗戦献金をネコババして貯めたお金を元手に、アメリカで商売を始めようとしていることを裏付ける証拠と方軍氏が主張するFAXの内容である。11月26日と書いてあるのは、2001年とのこと。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは横ばい圏155円後半、実需の買い一

ビジネス

日経平均は反発、節目回復で上昇に弾み 先物主導で見

ビジネス

東京海上、政策株式を29年度末までにゼロに 今年度

ワールド

インドネシア経常赤字、第1四半期は対GDP比0.6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 4

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 9

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中