最新記事

大統領令

トランプ、建設許可迅速化する米大統領令 温暖化対策の規制を無効に

2017年8月16日(水)08時31分

8月15日、トランプ米大統領は、高速道路や橋など主要な建物に対する建設許可を迅速化する大統領令に署名した。写真はワシントンで14日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は15日、高速道路や橋など主要な建物に対する建設許可を迅速化する大統領令に署名した。政府は老朽化が進む国内インフラの改修に1兆ドルを投入する意向を示しており、この計画の一環。

大統領令の詳細は現時点で不明。オバマ前大統領は政府出資による建設プロジェクトに対し、海面上昇による洪水の増加など気候変動のもたらした影響からの被害を減らすため、建築基準を厳格化する大統領令を発令していたが、関係筋の先の話によると、トランプ氏の大統領令はこれを無効にするものという。

トランプ大統領は、ニューヨークでの記者会見で「わが国の優れたインフラが老朽化し崩壊するのを、もはや看過することはできない」と主張。「われわれは環境を保護しつつ、光り輝く新しい道路、橋梁、鉄道路線、運河、トンネル、高速道路を建設する。米国人の労働者、米国産の鉄、米国産のアルミ、米国産の鉄鋼でわが国を再建する」と宣言した。

政府高官によると、前政権による大統領令の無効化により、トランプ氏はインフラ計画における「現行プロセスを能率的にする」ことを望んでいるという。

他方でホワイトハウスの広報官は、大統領令は主要なインフラ計画に必要な許認可の完了に2年という目標を設定するものと明らかにした。

トランプ政権はかねてから、建設計画の承認に時間がかかりすぎると批判しており、オバマ政権時代に作られた気候変動対策の規制を廃止する規定や命令を数十件発令してきた。

オバマ政権時の基準は、建設会社が洪水の増加に対する科学的予測を織り込み、建造物が海面上昇や豪雨に耐えることを保証するよう規定。連邦政府関係機関にも、公的インフラ計画にこれらの基準を適用するよう求めていた。

[ニューヨーク 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中