最新記事

サッカー

サッカー選手はなぜ「スポーツブラ」を着けている?

A Sports Bra for Dudes?

2022年12月19日(月)19時25分
ダン・コイス
カタールW杯、韓国選手

W杯で決勝ゴールを決めた韓国の黄喜燦が着けたGPSベストはスポーツブラに見えたが WU ZHIZHAO-VCG/GETTY IMAGES

<「スポーツブラ」に見えるが、答えはノー。カタールW杯でも男子選手が着けた「GPSベスト」だが、これが何のためにあるか、知っていますか>

カタールで開かれていたサッカーワールドカップ(W杯)の1次リーグで、韓国のフォワード、黄喜燦(ファン・ヒチャン)はポルトガル戦に途中出場し、後半アディショナルタイムに見事な決勝ゴールを決めた。

彼はユニホームを脱いでファンの歓声に応えたが、下に何か黒いものを着けていた。男性用のスポーツブラのようにも見えた。

最近、多くの男子サッカー選手がスポーツブラのようなものを着けているのを目にする。

女子選手の場合は、体に合ったスポーツブラを着けるとパフォーマンスが上がることが、専門家の研究から分かっている。しかし、男子選手にはブラなど必要ないはずだ。どうして多くの選手が着けているのだろう?

その答えは、科学のため。もっと具体的に言えば、個々の選手のデータをGPSで追跡するためだ。

この「スポーツブラ」は、正しくは「GPSトラッカーベスト」と呼ばれる。小さなGPSデバイスを固定するポケットが、背中の部分に付いている。

コーチはこれを使って、選手が練習や試合で走る距離やスピードのデータを収集。それを基に、いま選手に負荷をかけていいか、それとも休ませるべきかなど、トレーニングの強度を調節できる。

AIを使って試合分析

ビッグマネーが動く他の人気スポーツと同じで、今やサッカーもさまざまなデータを駆使している。

選手がどちらの足でどれだけシュートを打っているか、どれだけパスを成功させているかといった数字を集めるのは当たり前。中には人工知能(AI)にゲームの一定の局面を分析させて、これまでのデータを基に、選手たちがどう動くかを予測させるチームもある。

科学はチームの戦術まで変えてしまう。米プロバスケットボールのNBAではデータを分析した結果、3ポイントシュートを試みる頻度が増えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高

ワールド

イスラエルとの貿易全面停止、トルコ ガザの人道状況

ワールド

アングル:1ドルショップに光と陰、犯罪化回避へ米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中