最新記事
大谷の真実

米スポーツライターが断言「大谷翔平は被害者。疑問はある程度解消した」...陣営の不手際が騒動を大きくした

OHTANI’S ORDEAL

2024年4月5日(金)19時45分
アレックス・カーシュナー(スポーツライター)

大谷翔平

ワールドチャンピオンを目指してドジャースに移籍した大谷だが野球に集中できるのか(3月26日) BRIAN ROTHMULLERーICON SPORTSWIRE/GETTY IMAGES

アメリカのスポーツ界で最も市場価値の高い選手が、そこまでディープに違法賭博に関わっていたのが本当なら、MLBにとって特大のスキャンダルになる。最悪なのは大谷が野球賭博に関わって八百長を働くことだが、そうでなくてもMLBの信用に傷が付く。違法賭博に関わっていたのなら、大谷が脅迫されやすい立場になることも問題だ。

ただ、今回の一件は大谷陣営の不手際が騒動を大きくした側面もある。

現時点ではっきりしている数少ない事実の1つは、水原が賭博問題を抱えていたことだ。その水原が、大谷のチームが雇った危機管理専門の広報担当者のゴーサインを受けて、ESPNの電話インタビューに応じ、スポーツ賭博で少なくとも450万ドルの借金を抱え込み、その肩代わりを大谷に頼み、大谷はそれに応じたと語った。

ESPNはその後、韓国での試合後にクラブハウスで、大谷が水原の借金の肩代わりをしたことをドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長がチーム全体に伝えたと報じた。

するとその日のうちに、大谷のアメリカの弁護団が「メディアからの問い合わせに対応する過程で、翔平が巨額の窃盗の被害に遭ったことが判明したため、当局に通報した」と声明を発表した。

一方、ドジャースを解雇された水原は3月21日にもESPNの電話インタビューに応じ、自分が嘘をついていたとし、大谷は自分の賭博について何も知らなかったと語った。水原はいくつかの質問に答え、いくつかの質問には回答を避け、ようやくここ数日で最も賢いことをした。メディアに話をするのをやめたのだ。

専属通訳の大きすぎる役割

だが、大谷に近い人たちの説明がコロコロと変わったため、大谷自身の関わりについて疑問が指摘されるようになったのは無理もない。危機管理の広報のプロがついているなかで、大谷のプライベートを知る人物がメディアのインタビューを受け、大谷が自分の借金を肩代わりしてくれたと話したことが嘘だった、などということがあり得るのか。

もしも水原が大谷の口座から何百万ドルも盗んだのが本当なら、なぜ韓国での開幕戦で2人はあんなに仲良くしていたのか。また大谷と水原が韓国にいるのに、アメリカにいる大谷の弁護団はどうやって「真相」を突き止めたのかという疑問もある。

だが、大谷自身の会見によって、これらの疑問はある程度解消した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会

ワールド

中ロ首脳会談、対米で結束 包括的戦略パートナー深化

ワールド

漁師に支援物資供給、フィリピン民間船団 南シナ海の

ビジネス

米、両面型太陽光パネル輸入関税免除を終了 国内産業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 8

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 9

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中