最新記事

インタビュー

東大卒プロゲーマー「ときど」を世界一に変えた1冊の本

2021年5月10日(月)11時15分
朴順梨(ライター)

mentalbook20210507invu_2.jpg

Photo: 遠藤 宏

――(ノートを見ながら)睡眠から筋トレ、食事まで! ここまで細かく付けてると、時に投げ出したくなったりしそうですね。

そういう時はやらないです(笑)。だから、しばらくチェックを付けなかった時期ももちろんあります。

基本的には、本に書いてあったとおりに睡眠時間や食事などの項目を書いていますが、自分なりに「今日はいいプレイができた」と付け足したりして、ちょっとアレンジをしています。面倒といえば面倒なんですけれど、朝起きて昨日のことを振り返ってチェックするだけなので、書くのに3分もかからない。

それに「明日はひどい記録をつけたくないから、油物は控えておこう」などと意識しながら生活するようになったのも、この本と出合って変わったことですね。

ゲームは悪いことだと思っていた

――中学生男子のなりたい職業ベスト10にプロゲーマーが入るなど、憧れの職業になりつつあります。ときどさんも子供の頃、ゲーマーに憧れていましたか?

全然です。逆にゲームをすることに対しては、悪いことをしているという意識でした。

ただ、ファミコンは物心がついたときから家にあって、子供の頃は『スーパーマリオブラザーズ』などが好きでした。

対戦ゲームを始めたのは小学生の時で、スーパーファミコン版の『ストリートファイター2』からですが、負けず嫌いだったのですぐ周りに勝てるようになってしまったんです。

それで、中学生になると、横浜から広尾の学校に通うようになり、活動範囲が広がったのでゲーセンに行くようになった。

学校の友達には「これは勝てないな」と思わされてしまう秀才がいて、だから勉強でトップを取るのは難しいけれど、格闘ゲームでは一番でいられることがモチベーションになりました。

大人たちと対戦して勝てると何より嬉しかったし、彼らと一緒にご飯を食べに行くのも刺激的だった。その時の高揚感が忘れられないから、今でも続けているのだと思います。両親からは「タバコ臭くなるからゲーセン禁止」と言われていましたが(笑)。

――それでも東大の大学院に進学し、公務員になるかゲーマーになるかで悩んでいたんですよね。

大学院が本当にうまくいかなくて、入りたかった研究室に入れず、志望を変えざるを得なかった。だから大学院の勉強は続けられないと感じてしまい、公務員試験を受けるか、プロのゲーマーになるかと考えて。

ちょうどその頃、中高生時代に同じゲーセンで勝負していたウメハラさん(梅原大吾)がプロになったので、ゲーマーという選択肢が生まれたんです。当時は、自分は何のために生まれてきたのかとか、この先どうしていきたいかとかを、すごく考えた時期でしたね。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中