最新記事
自動車

トヨタ、「ランドクルーザー300」「ハイラックス」など10車種を出荷停止 豊田織機のエンジン出力試験不正で

2024年1月29日(月)21時40分
トヨタ

1月29日、トヨタ自動車は、豊田自動織機に委託した自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験で違反行為が確認されたエンジンを搭載した車両の出荷をいったん停止すると発表した。写真はトヨタのロゴ。2017年3月、タイのバンコクで撮影(2024年 ロイター/Athit Perawongmetha)

トヨタ自動車は29日、グループの豊田自動織機(以下、豊田織機)に開発を委託していた自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験で違反行為があったとして、このエンジンを搭載した車両の出荷をいったん停止すると発表した。

対象車両は「ランドクルーザー300」や「ハイラックス」など10車種。このうち日本では6車種。豊田織機によると、搭載車両の2022年度の国内販売台数は計約8万4000台だった。

豊田織機は、エンジンの出力試験時、量産用とは異なるソフトを使ったECU(電子制御ユニット)を使ってエンジンの出力性能を測定し、測定数値が安定するようにばらつきを抑えて報告していた。同社は「試験の際、燃料噴射量を調整し、出力・トルクカーブについて見栄えの良いデータ」にしていたという。

トヨタは、該当するエンジンと車両の量産品をあらためて検証し、エンジン出力基準を満たしていることは確認済みで、直ちに車両の使用を停止する必要はないとしている。

豊田織機の伊藤浩一社長は同日会見し、顧客、販売店、仕入先、監督官庁など関係者に「多大な迷惑をおかけした」と謝罪。「極めて重大に受け止め、深く反省している」と述べた。不正の原因として「トヨタとのコミュニケーション不足」を指摘。法令順守意識の欠如と開発生産を進めるために必要な「組織・体制が不十分だった」と説明した。

トヨタは、グループ企業のダイハツ工業に続き、豊田織機でも不正が繰り返されてきたことを受け、「認証を行うメーカーとしての根幹を揺るがす事態であると大変重く受け止める」とした上で、「豊田自動織機のエンジン事業の再生に向け、継続的にサポートしていく」とコメントした。

豊田織機は同日、フォークリフト用エンジンの認証試験を巡る特別調査委員会の調査で、フォークリフト用エンジンでの不正が拡大したことや、新たにトヨタ向けの自動車エンジンでも不正行為が確認されたことを公表した。

国土交通省は30日午前9時から、豊田織機の碧南工場(愛知県碧南市)に立ち入り検査を実施する。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中