最新記事

米中対立

米輸入関税の抜け穴「デミニミス」が激安中国製品の流入招く TikTokもEC参入か

2023年8月14日(月)11時27分

連邦議員による超党派グループは6月、中国からの「デミニミス」対象の輸入を禁止する、即時執行の法案を提出した。

中国製品と中国で設立された企業が「デミニミス」の恩恵を受けているという事実は、一部の連邦議員をいら立たせている。下院歳入委員会で委員長を務めるジェイソン・スミス下院議員(共和党)は5月に行われた公聴会で、同ルールは「中国との自由貿易協定」に等しいと述べた。

不公正な優位か

シーインとティームーが市場シェアを伸ばす中で、競合する米国の小売企業も「デミニミス」による関税免除への懸念を強めている。

上院の記録によれば、2018年以来、「デミニミス」についてロビー活動を行った小売企業は、コーチの親会社であるタペストリーや、日本発のフリーマーケットサイトであるメルカリなど10数社を数える。

コロンビア・スポーツウェアやAAFAなど、一部の小売企業や業界団体は、800ドル以下という上限を維持しつつ、米国の外国貿易地域(FTZ)に立地する配送センターから商品を出荷している小売企業も、同様の関税免除措置を利用できるようにするという案を支持している。

上限金額を引き下げるか完全に撤廃するのが望ましいと考える企業がある一方で、日常的にこの「デミニミス」を利用している企業は何も変更しない方がよいとしている。

6月に発表された下院委員会の報告は、H&Mとギャップが2022年に支払った輸入関税がそれぞれ2億0500万ドル、7億ドルだった一方、顧客に直接商品を送付しているシーインとティームーは、まったく輸入関税を払っていないと指摘している。

スティーブ・ストーリー氏が経営するエイペックス・ロジスティクス・インターナショナルは、小売企業その他の事業者に「デミニミス」に基づく商品出荷の支援を提供しており、同氏はこの免税措置はあらゆる企業に開かれたものだと主張。「コストを節約し、こうした電子商取引のパラダイムシフトを生かそうとしないのであれば、ただ敗れ去るだけだ」と言う。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノババックス、サノフィとコロナワクチンのライセンス

ビジネス

中国高級EVのジーカー、米上場初日は約35%急騰

ワールド

トランプ氏、ヘイリー氏を副大統領候補に検討との報道

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、3週連続減少=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中