最新記事

資産運用

ビットコインで年金積み立て? プロが資産形成に仮想通貨を組み込む納得の理由

INVESTING IN CRYPTO

2022年6月9日(木)18時43分
ケリー・アン・レンズリ
ビットコイン

SITTIPONG PHOKAWATTANA/ISTOCK

<アメリカでは年金の積み立てにも使えるようになった仮想通貨。このリスクの大きい金融商品を、資産運用先として使いこなすヒント>

もしもあなたが日本版401K(確定拠出型企業年金)に加入しているなら、拠出金の運用先を選ぶのはあなたの責任。未確定の給付金を増やすも減らすもあなた次第。一般には、中高年の人は安定志向で、若い人ほどリスクを取るとされる。

アメリカでは今年4月から、401Kの運用先にビットコインなどの仮想通貨も組み込まれることになった。業界最大手のフィデリティ証券が発表したもので、「仮想通貨の歴史における決定的な瞬間」だと投資アドバイザーでデジタル資産に詳しいリック・エデルマンは言う。「会社勤めの人にとって老後に備えた貯蓄と言えば、まず思い浮かぶのは企業年金。401Kで運用できるとなれば、何百万もの勤労者がビットコインを買い始める可能性がある」

ただし、仮想通貨を「買える」からといって、今すぐ「買うべき」だとは言えない。運用先を分散するのはいいことで、仮想通貨を組み込めばインフレ対策に役立つかもしれないが、難点は価格の変動が激しいこと。だから年金プランの場合は、仮想通貨での運用は拠出額のごく一部に限るのが賢明だろう。

大切なのは、仮想通貨のリスクを最小化し、リターンを最大化する組み入れ比率を見つけることだ。老後のための投資先としての仮想通貨への関心は、以前から若い世代の間では高まっていた。そこがフロンティアであることは事実。でも未知の領域だからこそ、始めるときは慎重に。以下は最低限の知識だ。

余裕資金で慎重に始める

インベストペディアとピュー・リサーチセンターの調査によると、仮想通貨などのデジタル資産の知識に自信を持っている人は、アメリカでも4人に1人。実際にデジタル資産に投資したり、利用した経験のある人は6人に1人程度だ。

だからこそ米労働省は今年3月、年金資金の運用業界に対し、仮想通貨を組み込んだ投資商品を提供する際にはリスクの説明に細心の注意を払うよう警告している。

仮想通貨はどれほど不安定なのか。過去1年間だけでも、ビットコインは1日のうちに10%以上急落したことが5回ある。一方、S&P500指数がそれほど急速に下落したのは過去50年間で2度だけだ。しかも最近の仮想通貨は下り坂。ビットコインは昨年11月に6万9000ドルの史上最高値を記録して以来、40%以上も下落している。

ただし短期の乱高下に振り回されない余裕があれば、素敵に大きなリターンを期待できる。1ビットコインが1500ドル程度だった頃(5年前だ)に買っていれば、今は2400%も値上がりしている。同じ期間の株価上昇率は120%だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中