最新記事

ビジネス

イーロン・マスク、ツイッター買収に「謎のファミリーオフィス」を使っていた

2022年4月27日(水)17時45分

業界関係者によると、ファミリーオフィスの運営が少人数で行われることは珍しくない。ただ、アマゾン創業者であるジェフ・ベゾスのファミリーオフィスの従業員は100人以上に上るとされる。

ファミリーオフィスには資産や主要な人材の公開を定める規制はなく、エクセッションの運用資産の規模や従業員数といった情報は入手できなかった。

リンクトインに掲載された経歴によると、バーチャル氏はブリガムヤング大を卒業後、ゴールドマン・サックスを経て、メリルリンチで富裕層向け資産管理業務を手掛けた。

金融取引業規制機構(FINRA)の記録によると、メリルリンチは2010年に「経営陣の承認を得ずに顧客に通信を送った」などとして、バーチャル氏を解雇した。ロイターはバーチャル氏の解雇について詳細を確認できず、FINRAとメリルリンチはコメント要請に応じなかった。

バーチャル氏はその後1カ月以内にモルガン・スタンレーで富裕層向け資産運用業務の担当者として働き始めた。

マスク氏の用心棒

バーチャル氏の役割は金融分野以外にも及んでいる。

タイで2018年に少年らが洞窟に閉じ込められ事故の救出活動を巡り、マスクの支援の申し出を批判した潜水士が名誉棄損の訴訟を起こした際には、バーチャル氏が私立探偵を雇い、この潜水士を調査したことが裁判資料で明らかになっている。裁判では、マスク氏が潜水士を「小児性愛者」と投稿したことで、潜水士が損害賠償を求めていた。

バーチャル氏は法廷で、「本能的にマスク氏を守りたいと思った」と証言した。マスク氏はこの裁判で勝訴した。

ウォートン・スクールのアミット氏は「特にファミリーオフィスでは忠誠心という考えが非常に重要だ。家庭内の最も親密でプライベートな問題に触れるからだ」と述べた。

(Hyunjoo Jin記者、Elizabeth Dilts Marshall記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

銀行資本規制「バーゼル3」、米当局に8月最終決定の

ビジネス

米マスターカード、1─3月1株利益が市場予想超え 

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米ハイテク株安や円高が重

ビジネス

テスラの「ギガキャスト」計画後退、事業環境の逆風反
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中