最新記事

株の基礎知識

【インフレ時代の投資戦略】ウクライナ侵攻で原油高騰、株価はどうなる?

2022年3月15日(火)16時25分
山下耕太郎 ※かぶまどより転載
原油

bymuratdeniz-iStock.

<エネルギー価格や商品価格が高騰し、世界的にインフレ圧力が高まっている。一般的に株式はインフレに強いといわれているが、なかでも強い銘柄、金融資産は>

インフレ時代の投資戦略

原油などのエネルギー価格や商品(コモディティ)価格が高騰し、世界的にインフレ圧力が高まっています。2月3日には、英イングランド銀行(BOE)が追加の利上げを行い、欧州中央銀行(ECB)も年内の利上げを排除しない姿勢を示しています。

米連邦準備制度理事会(FRB)も2022年度中に複数回の利上げを行うとみられており、コロナ禍で金融緩和を進めてきた各国の中央銀行が、一斉に政策修正をしてきています。

景気の悪化と物価高が同時に進む「スタグフレーション」への懸念も出てきているなか、個人投資家は、どのように資産運用を行っていけばいいのでしょうか。

大きく下落した世界の株式市場

2022年1月、アメリカの株式市場はコロナショックの2020年3月以来で最悪の月となりました。アメリカを代表する株価指数であるS&P500種株価指数は5.3%下落し、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は9.0%と大幅に下落しました。年内に利上げをするというFRBの発信が逆風となったのです。

日本市場も上値が重くなり、日経平均株価は3月8日に25,000円を割り込みました。

kabumado20220315oil-chart1.png

ウクライナ緊迫で進む資源インフレ

世界的に株価が大きく下落した要因のひとつは、アメリカのインフレです。1月12日に発表された2021年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.0%増となり、39年ぶりの高い上昇率となりました。

また、各国で新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした行動制限の多くが緩和されており、ガソリン消費などが堅調なことから原油価格が上昇。2月に入り、WTI原油先物価格は2014年10月以来、約7年4か月ぶりに1バレル90ドルを超えました。

さらに2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始したことで、世界生産の1割を占めるロシアからの輸出が減少するとの警戒感から、1バレル130ドルを突破する場面もありました。

kabumado20220315oil-chart2.png

ウクライナ情勢の行方に対する懸念とともに、原油価格の上昇がインフレを加速させればFRBが金融緩和縮小と利上げを急ぐのではないか──そうした警戒感が高まっているのです。

インフレと株価の関係

一般的に株式は、インフレに強いといわれています。企業収益が増えると、その企業の株価は上がるのが通常だからです。ですから、モノの値段が下がる「デフレ」よりも、値段が上がる「インフレ」のほうが企業の利益は大きくなるので、株価も上がりやすくなるのです。

ただし、物価の上昇が予想を上回る伸びだった場合、インフレ懸念による金利上昇を受けて株価が下落する場合もあります。

(参考記事)暴落の原油、有事の金! コモディティ価格と株価の意外な関係

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、ミシュスチン首相の続投提案 議会承

ビジネス

英GDP、第1四半期は予想上回る前期比0.6%増 

ビジネス

日経平均は反発、好決算物色が活発 朝高後は上げ幅縮

ビジネス

再送-午後3時のドルは155円半ばで底堅い、円弱含
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 7

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 7

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中