最新記事

ビットコイン

「資金の逃避先」ビットコインが、ウクライナ危機では株価と一緒に下落した理由

2022年2月25日(金)18時33分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)
連動する通貨

ogeday çelik-iStock

<株価が下がる場面で「逃避先」となることが多かったビットコインだが、現在のウクライナ危機を受け、株価と連動するように下落しているのはなぜか>

ロシアによるウクライナ侵攻を受けてビットコインは一時400万円を下回りましたが、現在は下げ幅を縮小する展開となっています。

ビットコインは、株や債券などと異なり、特定の国や組織の信用リスクがないため、理論的には金のような「安全資産」、すなわち有事の際に資金の逃避先となる可能性があります。

一方、現在のビットコイン市場は、長引く金融緩和を背景として投機的なリスクマネーが相当量入っているとみられ、こうしたリスクマネーはマーケットイベントに対する感応度が高い(つまり、一般的な投資家に比べて、ポジティブなニュースがあれば更に流入し、ネガティブなニュースがあれば更に流出する)と言われています。

220225kr_umm02.png

(出典:Kraken Intelligence「ビットコインと株の相関係数 ナスダック(水色)S&P500(紫色)」)

220225kr_umm03.png

(出典:Kraken Intelligence「ビットコイン価格(濃い青色)」)

先行きはリスク資産と同様に不透明

ウクライナ危機の以前から、ビットコインとリスク資産である株の相関係数は高まっていました。

ビットコインと米国株との相関係数は、12月に下がったが1月に反発。ナスダックはプラス0.69、S&P500はプラス0.44まで上昇しました。背景には、2021年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBによる金融政策のタカ派的なシフトが確認され、リスクマネーが逆流したことがあげられるでしょう。

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、ビットコイン市場にも大きなインパクトがあるマーケットイベントですが、短期的には株式等のリスク資産との相関が高い状況が続き、ビットコイン相場の先行きはリスク資産同様不透明なものとなる可能性があるとみています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中