最新記事

ワークプレイス

フィンテックの雄スクエアが、オフィスを「街」に見立てる理由

2017年8月2日(水)18時10分
WORKSIGHT

wsSquare170802-4.jpg

「ネイバーフッド」。チームごとの集まり。

wsSquare170802-5.jpg

ライブラリ。会話厳禁で、大学図書館のような静けさ。「ときに気が散るオープンオフィスでは、完全に集中できる空間を提供することも大切」(ゴーマン氏)

wsSquare170802-6.jpg

予約不要のソファタイプのミーティングスペース。

とはいえ、ブルバード上をアクティブに移動する社員たちは自然、他チームとリソースを共有することになる。また完全にクローズドな場所は1つもなく、会議室もガラス張りにすることで、オフィス全域に透明性を確保した。「ここではすべての会話が"見える"のです」(ゴーマン氏)。人が簡単にコネクトできる空間をつくり、予期せぬ出会いを生み出す。その点で、コラボレーションに最適化されたオフィスだと言えるだろう。

社員のヘルス&ウェルネスも重視

ヘルス&ウェルネスのプライオリティも高い。ヨガ、ピラティス、睡眠、ストレスマネジメントなどのクラスを提供している。食の選択肢がまた豊富だ。スナック類やコーヒー、ジュースを置いたマイクロキッチンは7つ。

無理にヘルシーな食品を押し付けようとはしないが、そのかわり陳列のしかたが工夫されている。「冷蔵庫を開けると、カロリーの高いソーダ類は一番下の棚に。水やお茶などは、取りやすい高さの棚に置いてあります」(ゴーマン氏)

メインの食堂はフルサービスのレストランだ。月曜から金曜まで朝食、昼食、夕食を提供、ビーガン、ベジタリアンにも応じる。スペースは多目的に利用され、ミーティングやイベントの会場にも。タウンスクエアと呼ばれるオールハンズミーティング(全社員会議)は、ここで行われるという。

地域コミュニティとの触れ合いが新商品開発につながる

以上、オフィスに街を取り込む工夫が並んだが、逆のベクトルもある。オフィスのあるサンフランシスコのサウス・オブ・マーケット(SoMA)は、古びた街並みとテック企業が混在するエリア。

当地のコミュニティに貢献しようと、定期的に社員を街に送りこむのもスクエアの習わしなのである。隔週金曜日は前述のレストランを敢えてクローズする。社員が街にランチに出てコミュニティに混ざり、さらに新しいアイデアを得てもらいたいという思いからだ。

【参考記事】旧来の銀行を激変させる「リアルタイムワーキング」

wsSquare170802-7.jpg

執務スペース。個人のデスクは決まっているが、プロダクトベースで席が動く。また話すときは大きなテーブルに移動するよう推奨されている。

wsSquare170802-8.jpg

(左)「バンガロー」と呼ばれるカンファレンスルーム。リビングのようなセッティングで、人の出入りも容易。壁面をガラス張りにすることで「会話が見える」デザインに。(右)オフィスエクスペリエンス責任者、クリス・ゴーマン

wsSquare170802-9.jpg

オフィス内に地元の小売店を誘致している。コーヒーショップは「Andytown SF」の2号店。街にある1号店そのままのデザインをオフィス内に持ちこんだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中