最新記事

インタビュー

ソーシャル時代には「オンリーネス」を発揮せよ

2015年8月6日(木)19時00分
デービッド・ウッズ(Dialogue Review誌編集長) ※Dialogue Review Mar/May 2015より転載

「インターネットは物理的な距離やコスト、時間など、多くの障壁を取り払ってくれました。今では、かつては巨大な組織にしかできなかったことも、『つながりあう人々』が実現できます。ネットワークこそが、これまでの企業に代わるものであり、何かを成し遂げるための新しい方法なのです。もちろんネットは、すべての権力の形を変えたわけではありませんし、『何でもできる』という白紙委任状が与えられたわけでもありません。しかし、誰もが、以前より多くのことを成し遂げることができるようになったのは、紛れもない事実です」

 マーチャントの提唱する「オンリーネス」という概念は、私たちの一人ひとりは、他の誰も占めることのできない唯一無二のポジションにあり、その独自性は誰もが獲得できる財産である、というものだ。それは単なる流行りの経営コンセプトではない、とマーチャントは強調する。「オンリーネス」は「あった方がいい」といったレベルのものではない。私たちの経済が生き残るために欠かせないものだというのだ。

「ビジネスが失敗するのは、たいていその担い手が古い考えにしばられていることが原因です。彼らはカネや組織、資本といった観点で物事を考えます。しかし、世界には70億もの人間がいて、たくさんの才能がまだ埋もれていると考えてみたらどうでしょう? 大きな変革のきっかけになるのではないでしょうか」

リーダーシップは70%が後天的要素

「実際にビジネスがうまくいっている人にとってみれば、物事を変えたいと思う理由は見つからないかもしれません。自分が今いるポジションを捨てる必要を感じないことでしょう。マイホームを所有しているようなものです。でも、その家が不良物件だったらどうしますか? もっと大きな家を建てればいいのです。そこに多くの人々を招き入れましょう。まさに今、新しいタイプの人々に力を与えることで新たな価値を生み出す、構造的転換が起きつつあります」

「『守旧派』が永遠に権力をもち続けることはあり得ません。中世末のヨーロッパでは、王権神授説が唱えられ、王は、神によって自分たちに独裁権力が授けられていると信じていました。しかし、その後の市民革命で、その権力はくつがえされました。同じことが現代のビジネスにおいても起こることでしょう。ビジネスリーダーの"現代版王権神授説"がくつがえされ、権力がエリートたちの手から離れていくはずです。そして、そのことは必ず世界に大きな変革をもたらします」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中