コラム

マスク姿は「ワクチン未接種」だと疑われる? ニューヨークの今

2021年05月26日(水)18時20分

ワクチン接種完了者はマスク義務が解除になった5月半ばのマンハッタンの週末  SENRI OE

<ワクチン接種完了者はマスク着用義務が基本的に解除されたニューヨーク。接種の有無は見た目からは分からないなか、自分はマスクをはずすのか? 最新情報を大江千里がリポート>

ニューヨークでは新型コロナのワクチン接種が進み、打ちたい人は観光客でも打てる状況になった。しかし副反応が重いケースが多々あり、2回目を拒否する人もいる。

僕の周りでも副反応のひどい人が多く、モデルナワクチンの2回目の接種後に40度を越える熱が3日ほど出たり、ファイザーワクチンの1回目の後から歩くとフラフラしたり、「君も? よかった。それ聞いて安心した」という会話を同年代のアメリカ人の友達とよくしている。

僕もモデルナワクチン2回目を接種後にフラフラが続いたので脳のMRI検査をした。血栓ができているが僕の年齢を考えると問題はなく、ワクチンによるものではないと主治医は言った。

最近よく駅で目にするのは「接種希望者を増やすキャンペーン」。打ちたい人に打たせる時期は終わり、打ちたくない派にいかに打たせるかの時期に入った。しかしアメリカ全体では4分の1がワクチンを拒否している。なぜか?

ワクチン接種に対する姿勢は人種や宗教、政治的理由によって異なると言われる。健康上の理由、妊娠しているとか持病があるとかの理由も考えられる。

しかしそういう理由に関係なく、最も命に貪欲なのはお金持ちであり、こぞってワクチンを打っていると断言する人もいる。ワクチンを打たない理由は漠然とした不安、不信感があることも大きい。アメリカ人の中には「ワクチン慣れしていない」と言われる層の人達も多い。

このところ、打ったかどうかは人に尋ねてはいけないタブーになっているような気が僕にはしてしまうのだが、ニューヨーカーの間で接種していないことに対する風当たりは僕の知る限りではない。

ワクチン接種が拡大した数カ月前は「私は打ちました」というステッカーを胸に貼っている人を見かけた。だがその姿はすぐに消えた。ニューヨーク州、ニューヨーク市は1人でも多くの人にワクチンを打って欲しいだろうから、あえて拒否派をニュースにしないだろうし、その日のニュースのトピックスによっても打つ人の数が変わる。

プロフィール

大江千里

ジャズピアニスト。1960年生まれ。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー後、2007年末までに18枚のオリジナルアルバムを発表。2008年、愛犬と共に渡米、ニューヨークの音楽大学ニュースクールに留学。2012年、卒業と同時にPND レコーズを設立、6枚のオリジナルジャズアルパムを発表。世界各地でライブ活動を繰り広げている。最新作はトリオ編成の『Hmmm』。2019年9月、Sony Music Masterworksと契約する。著書に『マンハッタンに陽はまた昇る――60歳から始まる青春グラフィティ』(KADOKAWA)ほか。 ニューヨーク・ブルックリン在住。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story