最新記事
シリーズ日本再発見

日本のレゴ愛好家はどんな人たちで、何人くらいいるのか?

Fan Creations

2018年08月31日(金)18時15分
森田優介(本誌記者)

Newsweek Japan

<今年はレゴ誕生60周年。世界中で愛されるレゴブロックにはディープなファンコミュニティーがあるが、その実態とは? 日本で活躍する6人にスポットライトを当てて紹介する>

2018年はレゴブロック誕生60周年。子供向けブロック玩具として1958年に誕生したレゴは、今やそれだけにとどまらず、アート作品となり、映画やテーマパークに姿を変え、スター・ウォーズやハリー・ポッターの世界を再現してきた。

そして何より、子供から大人まで、レゴを愛する人を世界中に増やしてきた。

レゴはもちろん1人でも楽しめる娯楽だが、これだけ世界に愛好家がいれば当然、コミュニティーが生まれるもの。コミュニティーに加われば、情報が手に入り、テクニックを研鑽でき、趣味の仲間を得ることができる。

現在、レゴ・グループが認めるコミュニティーは世界に334。同社は、認定レゴユーザーグループ、認定レゴファンメディア、認定レゴオンラインコミュニティーの3つに分類している。こうしたファンたちとの関わりを統括するのは、デンマークのビルン、米コネチカット州のエンフィールド、中国の上海の3拠点だ。

では、日本はどうかというと、レゴユーザーグループ(LUG)が5つあるだけ。レゴファンメディアとレゴオンラインコミュニティーに分類されるコミュニティーはないという。

日本の5つのLUGは、関西レゴユーザーグループ(Kansai LUG)、ジャパン・レゴユーザーグループ(J-LUG)、大阪大学レゴ部(Osaka University LUG)、ジャパン・トレイン・レゴユーザーグループ(JT-LUG)、そしてJP-LUG桜(JP-LUG Sakura)だ。それでも、メンバーは合わせて約400人もいる(2018年初頭現在)。

もちろん、この他にもレゴ・グループが認定していないコミュニティーやグループが無数にあり、さらにはどのコミュニティーにも加わっていない愛好家がたくさんいるだろう。実際、今年6月に神戸で開かれた「ジャパン ブリックフェスト」という大規模イベントには、開催した関西LUGによれば、4000人もの親子が集まったという。

ただ作品をつくるだけでなく、SNSで発表したり、イベントや教室を運営したり......と、さまざまな活動を行う大人のレゴファン(略称AFOL)たち。生み出す作品も、活動のスタイルも千差万別だが、共通しているのは「本気のレゴ愛」だ。

ここでは、日本で活躍するAFOLの中から厳選した6人を、その作品とともに紹介しよう。

※レゴブロック誕生60年を記念し、本誌は特別編集ムック「レゴのすべて」を8月31日に発売。その歴史から製造現場の舞台裏、ミニフィギュア(ミニフィグ)誕生秘話、人気シリーズの紹介まで、本拠地デンマークでも取材を行ってレゴの魅力に迫った。この記事はムックの中の1記事「日本のファン:本気の作品を生み出す楽しみ」の拡大版。

1. 入江貴道

●作品名:「Hornet」

LEGOmookSR180831_1.jpg

Takamichi Irie

25歳。明石高専建築学科を卒業し、現在は多摩美術大学大学院の環境デザイン学科でランドスケープを専攻中。レゴ歴は「年齢とイコール」だと笑う。2つのLUGに所属しており、レゴのイベントに出ることも多い。

好きな映画に関する作品もつくるが、虫や恐竜など「不定形なもの、生き物」をレゴブロックで生み出すことを意識しているという。事前にスケッチを描いたり、パソコンで設計図を書いたりせず、いきなり作り始めるというスタイル。

この作品「Hornet」は全長約30センチで、約500ピースを使用している。「この羽もレゴなんですか?」と尋ねると、マーベルの「スーパー・ヒーローズ アントマン ファイナルバトル」のセット(76039)にしか入っていないパーツを転用したと教えてくれた。

この他にも、カマキリやテントウムシ、トンボ、カブトムシがあり、虫のシリーズはレゴアイデアにエントリー中だ。

Twitter:@legomichiiiiii
flickr:https://www.flickr.com/people/legomichiiiiii/

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの文化」をジョージア人と分かち合った日

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中