コラム

美人補佐官とダブル不倫キスの英保健相が辞任 葬式でも距離守った遺族が激怒

2021年06月28日(月)06時10分

ハンナさんら遺族の会がこれまで首相や閣僚の辞任を求めてこなかったのは、死者15万人以上を出したコロナ対策の教訓を活かすため、法律で定められた検証を行うよう政府に求めることを優先してきたからだ。自分たちは最愛の家族の葬式でも抱擁できなかったのに、コロナによる犠牲をここまで拡大させた張本人の1人であるハンコック氏が執務室で美人補佐官とダブル不倫抱擁をしていたことに堪忍袋の緒がついに切れた。

1回目接種が成人の84%、2回目接種が同61%まで進むイギリスだが、デルタ(インド変異)株が猛威をふるう。この1週間で感染者は9万8460人(前週比54%増)、入院は1557人(同10%増)、死者も119人(同61%増)と拡大している。先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれた地域もホットスポットになっている。ワクチン接種や自然感染による免疫はいつまで続くのか、それによって3度目の接種時期も決まってくる。

遺族の会が求める検証がいつ行われるのかはジョンソン首相の腹一つにかかっている。そんな中、コロナ対策を担う保健相のタガがここまで外れてしまったのは、EU離脱で国論が二分し、支持基盤を失った最大野党・労働党が漂流し続けていることも一因だろう。野党の体たらくは政権の緊張感を失わせる。それが怖い。政治の油断がイギリスのコロナ危機を広げてしまったことをもう一度、思い起こすべきだ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、ロシア凍結資産活用の前倒し提起へ 来週

ワールド

ウクライナ、一部受刑者の軍入隊を許可 人員増強で

ワールド

北東部ハリコフ州「激しい戦闘」迫る、ウクライナ軍総

ビジネス

NY連銀、新たなサプライチェーン関連指数発表へ 2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 2

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 3

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 4

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「香りを嗅ぐだけで血管が若返る」毎朝のコーヒーに…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story