コラム

トランプも無視できない存在に成長した、暗号通貨の「現在地」を知る意味

2019年07月26日(金)17時56分

暗号通貨の現在地

昔の話は『デジタル・ゴールド』に譲るとして、暗号通貨の現在地はどのようなものだろうか。そもそも、暗号通貨は一部のIT企業や大手VCだけではなく、我々のような一般人にも何らかの実利をもたらすのだろうか。業界で働いていない人間がわざわざ時間を使って学ぶ意味があるのだろうか。

暗号通貨の外側の動きを見ると、アメリカ大統領が(ネガティブではあったが)ビットコインに言及するほどに認知は広まり、FATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)が規制に動き出すほどに影響力を持ち始め、一般人のビットコインに対する拒絶反応も緩和されてきた。

かつては「ビットコインが分裂等をきっかけに消えてしまうかも」というリスクが現実のものとして存在したが、現時点では価格が暴落することはあってもビットコインの存在自体が消失してしまうリスクは極めて限定的なものとなった。ビットコインを取り巻くこれらの現状を踏まえると「暗号通貨界隈の変化の早さ」は、もはや観測者の立ち位置を問わず認めるべきものだろう。

ビットコインとイーサリアム

暗号通貨の種類は有象無象のコインも含めると数千規模になってしまうが、基本的にはビットコインとイーサリアムの2つを起点に眺めるのが効率的だ。なぜなら多くのプロジェクトはビットコインとイーサリアムが抱える問題の解決策として開発されているからだ。

イーサリアムもビットコインができないことを実現するためにVitalik Buterin等によってスタートしたが、スマートコントラクトプラットフォームとしてトップの地位を獲得してからは様々な欠点を抱えながらも追われる立場となった。スマートコントラクトは、自動販売機やピタゴラ装置のように一定の条件を満たしたときに自動執行される仕組みのことで、たまにバグが見つかる点もそうした機器に似ており、スマートかどうかは主観的判断に依る。

本コラムでは次回以降、ビットコインとイーサリアムの2つを軸に現在の暗号通貨を俯瞰しながら、あまり暗号通貨には馴染みがないビジネスパーソンなどにとっても有用な、暗号通貨界隈から得られる思考の種を共有していきたい。

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2015年にイーサリアムに出会い暗号通貨界隈へ参入。2017年からはフルタイムで業界の仕事に従事。フリーランスとして複数の企業に関与しつつ、暗号通貨関連の調査研究・アーカイブを行うTokenLabにて業界の経営者や投資家に対して知見の共有を行う。

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