ニュース速報
ビジネス

超長期中心に日本国債積み増し、利回り1.9%台の30年債は魅力=日本生命・24年度運用計画

2024年04月24日(水)19時00分

 4月24日、 日本生命保険は2024年度の一般勘定資産の運用で、超長期国債や通貨スワップで円金利化した外国社債を含む「国内債券等」の残高を積み増す。写真は日本生命のロゴ。2019年2月、都内で撮影(2023年 ロイター/Hideyuki Sano)

Tomo Uetake

[東京 24日 ロイター] - 日本生命保険は2024年度の一般勘定資産の運用で、超長期国債や通貨スワップで円金利化した外国社債を含む「国内債券等」の残高を積み増す。足もとで利回りが1.9%台の30年国債については「魅力が出てきた」と評価している。

都築彰・執行役員財務企画部長が24日、運用方針説明会で明らかにした。

今年度の新規資金は例年とほぼ同程度の1.1兆円を見込む。

このうち、円金利資産の柱の「国内債券等」には30年債をメインとする超長期国債のほか、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外債が含まれるが、国内債券と円金利化した外債で「概ね半々程度のイメージ」(都築氏)で取り組む方針。

日銀の金融政策については、賃金と物価の好循環をしっかり見極めてから10─12月に0.25%程度までの追加利上げを行うことをメインシナリオとしている。

年度内の追加利上げは1回だけと想定していることもあり、国内金利の上昇余地は大きくなく、年度末にかけては「横ばいから緩やかな上昇」になると見込む。

都築氏は、24日時点の新発30年債利回りが1.95%であることに触れ、「水準は魅力が出てきたと思っており、今については着実に買っている状況」だと明かす。

過去3─4年はデュレーション・ギャップを減らすリスク削減目的で金利が低い中でも国債をある程度しっかり買ってきたが、現在は金利リスクも低下し、「純粋な投資対象として、利回りを見て判断できるようになった」という。

また外国債券のうち、「円債代替」である為替ヘッジ付き外債についても、残高増加を見込む。中長期の視点で投資妙味のある外国社債等に投資を行うほか、「レジリエントな(弾力のある)ポートフォリオ」の構築を目指し、ヘッジコストの変動に耐性を持つ変動金利資産のダイレクト・レンディング、ローン担保証券(CLO)、インフラ・デットなどを拡充していく。

一方、オープン外債については、為替や金利水準次第だが、残高は横ばいから減少を見込む。為替については、24年度末のドル円レート見通しが135円と、現在よりも大幅な円高を予想している。

このほか、国内株式の残高はおおむね横ばい。外国株式は、利回り向上と分散投資の観点からオルタナティブを増やす。国内不動産は物件のリニューアルに投資するなどして、残高は横ばいの計画。

日本生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で78兆8921億円。うち外貨建て資産は20兆3556億円(25.8%)。

2024年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.60―1.20% (年度末0.90%)

米国債10年物利回り  2.00―5.00% (年度末3.50%)

日経平均株価      3万―4万2000円 (年度末3万6000円)

NYダウ        3万2000─4万4000ドル(年度末3万8000ドル)

ドル/円        120―150円 (年度末135円)

ユーロ/円       135―165円 (年度末150円)

(植竹知子)

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:中国地方都市、財政ひっ迫で住宅購入補助金

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中