コラム

無価値不動産購入のススメ

2021年10月27日(水)16時50分

かりに月1万円のトランクルームを維持しようと思ったら、3年で36万円(更新料等を除く)であるが、すでに示した通り30万円払えるのであれば立派な小屋付き土地が手に入る。しかも市井のトランクルームよりは格段に広く、当然所有権を有するので室内造作は自由である。都内でワンルームを倉庫代わりに借りようとすればどんなに安くても4万円であろう。その約8か月分の賃料で田舎に倉庫を持てるのなら、そっちのほうが良いに決まっている。

無価値不動産の選び方

では、このような倉庫として耐えうる不動産をどのように探すかというと、普通に不動産仲介サイトで調べると山のように出てくる。首都圏でねらい目なのは、高速道路を使って都心からのアクセスが概ね1時間強~1時間半程度である茨城県と千葉の外房地域である。

実際に自宅からのアクセスを確かめてから、気に入った土地を散策してからのほうがよいだろう。いざめぼしい物件が見つかったら、即断即決である。不動産は量産品と違ってこの世に一つしかない。秒の差でほかの者が申し込みをしたらそれで終わりなのである。不動産との出会いは運命に似ており、気に入ったら即電話をかけて申し込みすればよい。

注意したいのは、例えば坪1万円で30坪の土地が30万円で売られていたとしても、30万円では手に入らないことである。購入と同時に所有権移転登記をしなければならず、その司法書士報酬がもろもろ10万円程度である。これは土地代金と合わせて不動産会社に振り込めばよい。物件プラス10万円強が諸費用の目安である。

しかし筆者のような物好きが多いためか、条件の良い小屋付き無価値不動産は近年流通量が減っている。コロナ禍でテレワークが増え、郊外の別荘需要が増えたのも一因であろう。こうした場合には、単純に小屋付き土地ではなく土地そのものを求めればよい。上物である小屋については不動産的に無価値と評価されるので、実は小屋の有無はあまり価格に反映されない。

だが例えば坪1万円で30坪の土地を買ったとして、倉庫はどうするのか。答えは簡単で、その上にユニットハウスを立てればよい。ユニットハウス自体は中古で設置費込み20万円(6畳くらいから)で売っている。土地を購入した後にユニットハウスを運搬して希望場所に設置すれば完璧である。ユニットハウスは基礎が存在せず、土地の上に物体を置くだけなので、市街化調整区域以外の場所であれば原則設置が自由である。

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英軍個人情報に不正アクセス、スナク氏「悪意ある人物

ワールド

プーチン大統領、通算5期目始動 西側との核協議に前

ワールド

ロシア裁判所、JPモルガンとコメルツ銀の資産差し押

ビジネス

UBS、クレディS買収以来初の四半期黒字 自社株買
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 4

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 5

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    「ハイヒールが効率的な歩行に役立つ」という最新研究

  • 8

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 9

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 10

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story