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勉強も習い事も 子どもの「やる気」の原動力を引き出す方法

2021年02月24日(水)12時15分
船津徹

子どもが上手にできるようにサポートする

勉強や習い事を子ども任せにしていると、成功体験を積める確率は下がります。「身体が動かすことが好き」「すばしっこくて俊敏」という子どもにサッカー教室を勧めてみる、というのは正しい選択なのですが、ただサッカー教室に入れるだけでは不十分なのです。

子どもの興味をやる気へとつなげるには、親がアシストして「技能を周囲よりも少しだけ高めてあげる」ことが必要です。どんな習い事でも週1〜2回のグループ練習だけでは、技能は人並み止まりです。人並み止まりでは成功体験を積むことができませんから、やがて意欲は減退していきます。

サッカー教室に入れる前に、親子でサッカーの試合をテレビで見て基本的なルールを教えてあげる。父親が休みの日にキックやドリブルなど基本的な技術を教えてあげる。親がアシストして子どもに基本的なルールや技術を身につけさせてあげるのです。

するとサッカー教室で「○○くんはキックが強いね」「○○くんサッカー上手だね」とコーチや周囲の子どもからほめてもらえます。このように子どもが成功体験を積めるように親が少しだけ練習につき合って、手助けすることで、子どもの「関心」を「意欲」へつなげることができます。

ほとんどの習い事は、初歩の技能であれば、親が教えることができます。また子どもの興味に合ったものであれば、親が教えなくても、一緒にその活動に取り組むだけで、子どもの技術は目に見えて上達します。そこから先は「やる気」を下げないように、タイミング良く励まし、努力をほめてあげればよいのです。

勉強面の「やる気」を引き出す方法は?

私はアメリカで学習塾を経営しているのですが、日本からアメリカに来たばかりの子どもは、英語力が弱いため、現地校の授業についていくことができません。このような子どもを放っておくと「自分は勉強ができない」と自信喪失し、学習意欲を失ってしまいます。

子どもを自信喪失から救い出すには英語力のサポートが必要と普通は考えますが、実際には「算数を強化する」ことが特効薬です。日本人の子どもは「かけ算九九」を覚えているので、アメリカ人に比べて計算が早くて正確です。算数であれば英語力が弱くても授業についていけますし、計算がずば抜けて得意になれば、先生や周囲の子どもから「すごいね!」とほめてもらえます。

現地校で成功体験を積むことができると「自分はアメリカでもやっていけそうだ」と、自信が回復するのです。自信が大きくなると、苦手な英語にも立ち向かっていける「やる気」が生まれます。

同じように、勉強にやる気がないという子の対処法は、得意分野を伸ばしてあげることです。勉強嫌いの子でも、一つくらい好きな教科、あるいは好きではないが苦手意識が少ない教科があるはずです。「国語、算数、理科、社会、英語のうちどれが一番好き(得意)?」と聞けば「どれも嫌いだけど、国語かな」と答えてくれます。

全ての教科を平均的に改善しようとせず、まずは一番好きな教科(興味)を得意教科にできるようにサポートしてあげるのです。具体的には、学習内容を学年よりも一つ簡単なものに下げて、親が勉強につき合ってあげます。つき合うと言っても、勉強するのは子どもですから、子どものレベルに合ったドリルを見つけてきて、毎日取り組むように励ましてあげるのです。そしてできたら「よくがんばったね」「やればできるじゃない」と努力をほめてあげればいいのです。

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