World Voice

パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

フランス史上最年少34歳の首相誕生 若い政治家が活躍できる国が羨ましい

34歳という若い主を迎えたばかりのパリ・マティニョン(首相官邸)  筆者撮影

フランスがマクロン政権に変わってから、黄色いベスト運動、パンデミックと惨事に見舞われ続け、2期目の当選を果たしてからも、昨年は、特に年金改革、移民法改正問題で大荒れで、マクロン大統領の支持率もここのところ、下がり気味で、昨年末には、27%という厳しい?結果が出されていました。しかし、マクロン大統領は、彼の在任中に今まで後回しにされ続けてきたこの年金改革問題と移民法の改正は必要不可欠の案件と考えており、悪い言い方をすれば、前首相のエリザベス・ボルヌ氏を盾に憲法49.3条まで発令して、かなり強引な手法でこの2つの問題を突破してきました。

一応、この問題に一区切りがついた現在、これらの改革のために悪くなった政府のイメージを一新するために内閣を再編成することに至ったと思われるのですが、そこで白羽の矢が立ったのが若干34歳のガブリエル・アタル氏だったのです。

フランスで最も人気のある政治家

そもそも、エリザベス・ボルヌ氏が首相に任命された時も、「フランスに女性の首相を!」という声が圧倒的に多く、彼女の任命前の予想では、女性の候補の名前ばかりがあがり、この中の誰が次期首相になるだろうか?というような感じだったと記憶していますし、実際に内閣人事などにもその声が強く反映され、女性の占める割合がすごく増えたのも印象的でした。

今回の首相交代の話が浮上し始めたときには、世間は、以前の「女性を首相に!」などという風潮はどこかにすっ飛んでしまったように、大方の予想は、「ガブリエル・アタル氏」であろうという声が圧倒的でした。というのも、彼は、現在「フランスで最も人気のある政治家」と言われており、Ipsos(多国籍企業コンサルティング会社)の最新の調査データによると、これまで堂々1位の座を保ち続けてきたエドゥアール・フィリップ元首相を抜き去り、なんと約40%の人々から高評価を受ける人気政治家と言われている人物なのです。

今回の彼の史上最年少の首相抜擢というのは、少なからずマクロン大統領が彼のこの人気の人物を抜擢することで、政府のイメージを刷新しようとしていることは、間違いありませんが、とはいえ、若干34歳の若者にこの大役を担わせていくフランスという国が羨ましい気がしてしまいます。とにかく若ければよいという話ではありませんが、彼はとてもエネルギッシュで行動力があり、何者かにへつらうという印象がなく、とにかく弁がたつ人で、2020年には、ジャン・カステックス首相の元で首相付国務長官・政府報道官に任命されたあたりから、公への認知が拡大されてきたように思います。

今から考えると、彼もその頃は、まだ30歳そこそこでもあり、若いうえに甘いマスクのどちらかといえば童顔で、年齢よりも若く見えるくらいだったので、やたらと饒舌に話す青年を私などは、「生意気そうな男の子だな・・」などと僭越にも思っていたのですが、やはり政治家にとって、話術はとても大切なこと、また、彼はデジタルネイティブ世代のスキルを巧みに使って、翌年には、TwitchやYouTubeで番組を立ち上げて主催し、多くのインフルエンサーとの対談したりしてきました。彼はあくまでも政府報道官として、これらのアクションを起こしてきたわけですが、結果的に彼自身の人気にも繋がっていたのかもしれません。

ガブリエル・アタル氏という人物

多くの人々から支持される人気政治家とはいえ、やはり、ここまで昇りつめるだけあって、さすがにエリートであることに違いはありません。パリ6区にある有名私立校に学び、パリ政治学院(パリの社会科学分野の特別高等教育機関・通称シアンスポ)、(卒業生には、フランスをはじめ各国首脳、国際機関トップ、企業経営者が名を連ねる超有名校)で公共問題の修士号を取得しています。

彼が政治の道を志したきっかけは、彼の親族によれば、2002年の大統領選挙の際に両親が彼をデモに連れて行ったことがきっかけだというなんとも、フランスらしい背景ではありますが、その後、シアンスポ在学中に国会でインターンシップを経験しており、それをきっかけに本格的に彼の政治への道のりが繋がっていきます。

また、彼は、2018年に同性愛者であることを公表しており、彼が父親にそのことを告白したときのことなどをインタビューに答えたりもしていました。雄弁でエネルギッシュでダイナミックな行動力を見せる彼の中に、どこかナイーブな一面をのぞかせるところがあるのも、彼のそんな背景も影響しているかもしれません。

彼はカステックス首相のもとで政府のスポークスマンとして活躍した後は、2022年には、公会計担当大臣代理、2023年からは、国家教育大臣としてグングン国家の中枢に躍進していき、教育大臣としては6ヶ月ほどの在任期間中のアクションには、目を見張るものがあり、学校内でのアバヤ着用禁止や学校への制服導入への検討やいじめ問題、いじめ加害者の学校からの排除など、精力的に取り組んでいました。中でも、学校教育問題については、首相になった後も、フランスの優先事項の一つであることに変わりはないと述べています。

彼の首相抜擢に際して、「マクロン学校の哺乳瓶で育ったプチマクロン」とか、「マクロンベビー」などと揶揄する声もありますが、彼が若すぎて、経験が少ないと言う以外に今のところは、彼にケチをつけることはなかなか難しいようで、「ガブリエル・アタルの悪習慣」などと書かれているので、なんなんだろう?と思いきや、電子タバコのヘビースモーカーであることや、カフェインのとり過ぎを避けるためにコカ・コーラゼロをよく飲んでいるとか、爪を噛むくせを取り上げ、不安を抱える若者であるなどと書き連ねているなど、逆によほど彼を貶める材料がないのか?と思わされてしまいます。

フランス社会に見られる若者主義?

史上最年少の首相誕生ということで、彼は「社会に見られる若者主義」の恩恵を受けていると言う人もいます。社会だけでなく、政治の世界でも高齢化が進んでいる日本からしたら、全く羨ましい限りの話で、そんな若者主義の欠片でも日本に分けてくれないか?と思います。ましてや彼が無能であるならともかく、その実力は周囲の誰もが認めるところなので、決して悪い話ではありません。

フランスのある歴史家は、この若い首相誕生によって、これまで人気政治家として名を馳せていたエドゥワール・フィリップやブルーノ・ル・メール氏などの格下げ現象が起こるかもしれないし、全世代の政治家がめまいを起こし、嫉妬を買うことになるかもしれないと語っています。たしかに首相には、これらの大ベテランの大臣たちを束ねていかなければならないという大任を担っているので、決して容易いことではありません。

しかし、同時に彼は、これまでの革命的であった政治家も30代で大役についていることを指摘しています。ミッテランは若干30歳で大臣になり、ローラン・ファビウスは37歳でマティニョンに加わり、何より、マクロン大統領が大統領に就任したのは39歳であり、歴史的にもそんなに異例のことではないと説明しています。

若い彼に経験値の問題が問われるのは言うまでもありませんが、どんどん変化している世の中で、新しいものを吸収し、取り入れていく体力・知力、エネルギー、情熱をもって国を力強く率いていこうとしている若者の姿はやはり清々しく、頼もしくもあり、未来に繋げようとしている姿勢は好ましいものです。マクロン大統領でさえ、まだ46歳です。そんなマクロン大統領でさえも、この数年ですごく老けたな・・と見えてしまうくらい若くてイケメンの新しいフランスの首相にエールを送りたい気持ちです。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ