アステイオン

音楽史

日本の学校教育では、明治時代から「ハモり」を教えるようになった...「和声学」を紐解く

2023年12月20日(水)11時00分
仲辻真帆(東京藝術大学未来創造継承センター大学史史料室学術研究員)

先の『初等和聲學』修訂増補版には和声づけの例として6パターンが挙げられており、さらにそれらの応用について説明するための譜例が4パターン掲載されている。

その中の基本的な和声の3パターンについて少し説明する。前記の【譜例4】は1つ目のパターンである。最も平易な和声づけの例で、そのほとんどが【譜例1】と同様の和声進行、つまり主和音と属和音の連続となっている。

主和音は、音階の基礎となる音、音階の第1音の上にできる和音である。属和音は、主音に次いで重要な音、音階の第5音の上に構成される和音を指す。

【譜例4】よりも使用和音の種類を増やし、和音構成音の間をつなぐ経過音を交えるなど、少し変化させたのが【譜例5】だ。音楽はやや多彩になり、表情が豊かになったように感じられる。

furei5-20231204.jpg

【譜例5:《大和撫子》第2例】音源はこちら

  
以上はいずれもG dur・ト長調だが、次の【譜例6】は最後の2小節が転調し、近親調のD dur・ニ長調となっている。

furei6-20231204.jpg

【譜例6:《大和撫子》第3例】音源はこちら

PAGE TOP