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最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性

山本彌生|アメリカ

コロナ禍「5つのカイゼン思考」ポートランド・イノベーション仕事術

BIM with Duck.jpgオレゴン大学キャンパス拡大改造プロジェクト発表のため、『拡張現実3Dゴーグル』をはめてのお披露目プレゼン。因みに同校は、Nikeの会長であるフィル・ナイト氏が陸上競技に打ち込んだことでも有名。Nike社設立の原体験となった同校は、スポーツビジネス科やスポーツ化学科のパイオニア。 Photo | BIM-CONNECTION, LLC

|  顧客ニーズを生み出す『イノベーション』思考

長年、実践的に先端技術を試し取り入れて続ける。その目的は、顧客の『新しいニーズを作り出すため』だと明言するハーバートさん。

「予算を決めて、少しずつでも先端技術を試して導入する必要性があります。しかしながら、大なり小なり設備投資にはお金がかかります。でも今の時代、最新技術について行かなければ、ガラパゴス化が進むばかり。日本の『失われた〇年』の時代を振り返ってみて下さい。研究・設備開発投資が出来なかったあの時代に、世界と確たる差を付けられてしまった。さらに今、その差は増々広がる一方なのが残念でなりません。

私の会社でも、大小様々な設備投資をしてきました。ドローン、拡張現実3Dゴーグル、AI等々。それらを活用して、設計プロセスの効率化と最新化を図り続けています。」

それはなぜか。全て、顧客の新しいニーズを作り出すという将来の投資のためだと言います。

そのうちの一つが、今、iPhone12搭載により注目されているライダー(LiDAR)です。これもすでに、15年前から建築デザイン機器として使用を開始。さらに、信頼のおける企業が必要とあれば、無料で貸し出しているというのですから驚きです。

「中小企業の場合、急激な技術投資は経営を圧迫することに繋がります。

もし、あなたの会社が資金に乏しい場合には、同異業者ですでに新しいプラットフォームを作り上げた企業を探してみてください。協力し合えるパートナー企業を徹底的にリサーチして、誠意と共に協働することをお勧めします。その際には、必ずウイン・ウインの関係になることが大原則です。

加えて、そこから新しいサービスを生み出すという将来的な展望も持って、協働作業をすることも大切なポイントです。

今の時代、ソフト、ハードいずれの投資無くしてビジネスの成長と発展は無いのに等しい。ですから、無ければ作り出す。これも、中小企業に必要なスキルの一つです。」

BIM Highrise apartment.jpgポートランド以外にも、国外・国内プロジェクトも多く扱う。LAのダウンタウンにおける数ブロック規模の大型改造計画では、全ビルのBIM設計を担当。中小企業にとってはチャレンジなプロジェクトであったと言う。 Photo | BIM-CONNECTION,LLC

|  『共に』がキーワード、『社員教育と成長』思考

特に、今現在の企業にとって日米問わず重要課題といわれること。それは、企業内の健全さと社員教育だと語ります。

「コロナ前や渦中に関わらず、一流企業レベルの人を中小企業に数多く集めるのは、現実的に難しい。それに、マッチングが合わなければ去っていきます。ですから、その企業のレベルに見合う人を雇用する。そしてそこから、各ケースに合った方法を使って会社が教育を施し、成長をさせ続けていくことが重要なのです。

会社のトップと一緒になって学習し成長していく。特に、これは中小企業の発展に不可欠なポイントのひとつです。

もし、それぞれのニーズが社内で解決できないと判断した場合には、外部の媒体を使って早い段階で対策を施してください。

例えば、心身の不調があれば、早期に心理カウンセリングを受けさせる。新しいプロジェクトのために必要なら、学習セミナーに行かせる。英語やビジネス基礎に問題がある場合には、レッスンを受けさせる。パワハラ、セクハラ、マタハラなど論外です。

プライベートな部分に関して言えば、もし社員の家族が病気に掛かかり金銭的サポートが必要あれば、特別支援金を給付する。夫婦関係で悩み仕事のパフォーマンスが下がっている場合には、カウンセラーを紹介する。

大企業では当たりまえの行為でも、中小で取り入れている企業は若干その数が減ります。もちろん、それに関しての費用は発生します。しかし、再度新しい人を雇用して一から教育をし直す時間と労力を計上してみてください。どちらが益に働くかは、明らかですよね。それにも増して、健全な企業ロイヤリティが生み出されるのもウイン・ウインです!

なにより一番悲しいのは、ギリギリまで放置しての自己退職です。企業側、社員双方苦い思いしか残りません。」

©2021PDXCOORDINATOR

最後に、ビジネス思考を使って『地域の問題解決』に応用する方法とは?

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著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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