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ヴィズマーラ恵子|イタリア

合理的なリスクを選択したイタリアは国を再開する

iStock-Photo Beto ナヴォーナ広場近くのローマの歴史的中心部にあるピッツェリアの所有者は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、課された封鎖制限が終了した後、レストランを再開するための社会的距離を確保するためにテーブル間の距離を測定している。


来週の月曜日にはリスクが未知数ながら、イタリアは再開する。
ドラギ首相が記者会見で

「国の再開(スタート)を延期したいと思う人がいるのも承知です。しかし、イタリア人の心理的および社会経済的状況は"合理的なリスク"への選択につながりました。」

と、述べた。

22日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から措置を規定した緊急政令第52号を出した。緊急政令に別途の規定がある場合を除き、3月2日首相令の適用を7月31日まで延長。

在イタリア日本国大使館より 2021年4月22日緊急政令第52号(抄訳)

イタリア、主要都市は来週からイエローに緩和されて色々なことが再開する。しかし、イタリアは、毎日1万4700人以上の新規症例を出し、350人前後が亡くなっている。死者数は悲しいことに高いままである。
Our World in Dataからデータ(4月24日更新)によるとワクチン接種を完了したはイタリアの人口のわずか8.34%である。

ローマのサピエンツァ大学の統計力学のジョルジョ・パリシ教授によると77歳以上のすべての人が予防接種を受けた場合、「1日300人の死亡者数が1日100人に自動的に減少移行する」という。
現在イタリア全土でコロナウイルス感染症に苦しみ、重症化して入院している患者は21,440人いる。集中治療で蘇生中の人は約3,000人。

【レッドゾーン】(26日から15日間)サルデーニャ州
【オレンジゾーン】(26日から15日間)バジリカータ州、カラブリア州、プーリア州、シチリア州、ヴァッレ・ダオスタ州
【イエローゾーン】(26日以降)アブルッツォ州、カンパニア州、エミリア=ロマーニャ州、フリウリ=ベネチア・ジュリア州、ラツィオ州、リグーリア州、ロンバルディア州、マルケ州、モリーゼ州、ピエモンテ州、トスカーナ州、ウンブリア州、ベネト州、トレント自治県、ボルツァーノ自治県

| イタリアのCOVIDワクチン接種状況

80歳以上の人の81.21%、70-79歳の人の45.19%が少なくとも1回のワクチン接種を受けた。
80歳以上の人が2回目のワクチン接種を終えたのは53.82%。一方、RSA(高齢者介護施設)入居者の94.93%は少なくとも1回の投与を受けている。

基準週(4月16日〜22日)の間に、投与数は16,829,814回に達し、前の週と比較して+2,569,979をマークしている。
4月23日には17,095,530回と、1700万のしきい値を超えた。供給に関しては、提供されたワクチンの数は2,000万に近く、19,888,040に達し、7日前と比較して+2,736,450の投与量の変動があった。
行政と物資の増加と並行して、ワクチン接種ポイントの数も増加してきた。今は、2276から2360(+84)になった。4月27日から5月5日までの短期間に、イタリアでは500万回以上のワクチン接種が見込まれているという。1日あたりの平均投与量が全国レベルで335,000回であり、1日あたりのワクチンのピークが384,000回。
政府は4月末までに1日あたり500,000回に達することを目標としている。


イングランドはワクチンのおかげで症候性感染が90%減少し、パンデミックからの脱却を宣言した。
イタリアもそれに続く。月曜日には、15の自治州がイエローゾーンに緩和となり多くの活動が再開される。0.81の全国Rtインデックス(0.77と0.89の間の振動)で伝染曲線の数値はそれほど速く下がっているというわけでもなく、曲線に対処しなければならないにもかかわらず再開するという。ロックダウンを解除して再開するのはまだ早すぎるという一部科学者の意見もある。高等衛生研究所の学長は「段階的な慎重さが基本となる」と、警告している。

ロベルトスペランツァ保健相は昨日、新しい条例に署名した。
【イエローゾーン】
制御室(週単位で数値を分析する機関)からのデータによると、イタリアは明後日はほぼ完全に黄色で表示されているという。
約5000万人のイタリア人がレストランのテーブル、バー(ただし屋外のみ)、そして映画館と劇場の椅子に戻ることができる。夜間外出禁止令は常に22時であることは変わらない。
22時を過ぎて外出しなければいけない場合は、その正当な理由を示す必要がある。

【オレンジゾーン】に緩和されたのは、プーリアでとヴァッレダオスタ、またバジリカータ、カラブリア、シチリアが追加された。
イタリア南部では、その数はまだ多すぎて対策を和らげることができない、厳しい規制がかかったままである。

【レッドゾーン】はサルデーニャのみ
3週連続で、サルデーニャだけがレッドゾーンのままで、昨年3月の「ホワイトゾーン」期間の解釈が非常に安直だったためだと言われている。島には厳しい禁止事項が残ることとなった。


モニタリング制御室からのデータは4月12日から18日までの期間を参照しており、ロックダウンだった閉鎖時期の影響を受けてのデータであるので、ゆっくりとした降下を見せている。さらに改善するだろうという可能性があるという。

最新のデータでは、新規症例数と入院数の緩やかな減少も確認されている。しかし、新規の発生率は依然として高く、住民10万人あたり50人という目標数値からはほど遠いため、実は「全体像はとしては依然として非常に困難なレベルにある」という。

状況がしっかり安定しているわけではない。再開しても良いという十分な数値ではない点もイタリア国民は念頭に入れておかなければならないだろう。
来週は再開されると人々の動きが活発になり、これまでの努力が水の泡となりかねない。

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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