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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

コロナ禍ドイツの幸福度ランキング 北へ行けば行くほど高まる幸せの理由とは

シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州リューベック・トラヴェミュンデ©LTM_K.E.Voegele

ドイツ全16州を対象に行った「幸福度アトラス2020」アンケート調査結果が発表された。コロナ禍の影響で昨年より幸福度指数は少し低下したものの、今年は北部の州が上位を占めた。

海気浴、開放感、高い生活レベルが人気の北部

16州を対象に行った「幸福度アトラス2020」のアンケート結果が11月上旬に発表された。郵便・物流大手ドイツ・ポストが年に1回発表しているこの調査を行ったのは、アレンスバッハ世論調査研究所だ。調査は2020年3月から6月の期間、16歳以上の男女4660人を対象にした。同研究所によると、幸福度ランキング1位はシュレースヴィッヒ・ホルシュタインとハンブルクの2州だった。(注・ベルリン、ハンブルク、ブレーメンは都市州)

幸福度指数は最低0ポイントから最高10ポイント。今年は全州平均で6,74 ポイントだった。前年比で0,3ポイント低下した。幸福度指数ポイントは1位が 6,,92 、16位が6,50と格差もさほど大きくない。

「ドイツ国内でも欧州でも、北へ行けば行くほど幸福感は高まる。北海やバルド海の海気浴(海岸の潮風を浴びる)や解放感は満足感を高めてくれる」と、この調査を指揮するフライブルク大学経済学者ラッフェルヒュッシェン教授は語る。

調査期間中の3月中旬から1か月ほど、ドイツ国内にロックダウン(都市封鎖)が発令され、外出制限やソシアルディスタンス(人と1.5mから2mの距離を置く)などの規制が施行された。過去に例を見ない行動制限が課せられた市民生活は、根底から変わってしまった。そのため、「景気後退、時短勤務、失職」などにおける心的不安の影響も大きかった。

なかでも男女ともに45歳から59歳の年齢層が大きな打撃を受け、コロナ禍の心的ストレスが大きく数字に表れた。これは働き盛りで家族や子供を持つ年代のためだという。

またベルリンの壁崩壊から30年以上過ぎた現在も、心の分断はいまだあると長年言われているが、旧東西ドイツの幸福度指数においては、年々格差が少なくなっている。 

幸福感の要因は4G

1位のシュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州は、国内最北端に位置し、北海とバルト海に挟まれ、海気浴には最適の地。同州はスカンジナビア、その他のバルト海海岸諸国をつなぎ、湖も多い。ユトランド半島に属し、世界の幸福ランキングでも常に上位を占めるデンマークに近い。

ドイツは幸福度の高い北欧ほど社会保障が完備されていないものの、安定した経済基盤や安定した生活水準を保つことができることも一因だろう。

同じく1位のハンブルク州はエルベ川の支流・アルスター川の河口にある港湾都市。ドイツ最大の貿易港を持ち、世界への貿易玄関口だ。またドイツメディア中心地でもある。

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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