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スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

永田賢|インド

現場から見るインドのアグリテックスタートアップ:Freshokartz

── Freshokartzの具体的なサービスについて教えてください。

我々は土壌データに基づいた作物や肥料の推奨情報を農家に提供し、村落にあるFreshokartzセンターのネットワークを通じて農家に農業資材を販売するとともに、農家が農場から直接企業に農業生産物を販売することを支援しています。Freshokartzは農家のデータを農場個別レベルで管理しており、正確なデータを提供しています。加えて、Freshokartzはコールセンターと農学アドバイザーを擁しています。

── COVID19では事業にどんな影響を受けましたか?

我々のビジネスモデルは、村レベルでセンターを開設し、農家と対話して対面の接点を持って信頼関係を醸成することに重点を置いています。インドの農家の人たちは、実際にサービスベンダーと会うことができて、農家のニーズに応じたサービスを受けられる場合にのみ、それらのサービスを信頼してくれるのです。Freshokartzのモデルは、このシナリオに最も適しています。私たちはCOVID19の影響を10%しか受けていません(売上減少と言う意味において)。最終的には、Freshokartzの収益はCOVID19ピーク時における最後の3カ月(5月から8月)で2倍になりました。予想では収益はもっと増えていたかもしれませんが、それでも大きな損失を出さずに乗り切ることができました。

(Freshokartz提供写真、圃場での農家との対話シーン)

── 競合他社との差別化ポイントはどんな点にありますか?

先に述べたように、私たちのモデルは、村レベルでセンターを開設し、直接フェイストゥフェイスで農家と対話することです。インドの農家は、会ってくれる人だけを信用し、その信用度に見合ったサービスしか採用しません。インドにおいて、物理的なタッチポイントを作り出して、現場レベルで農家と連携するという戦略に注力しているプレイヤーは非常に少ないです。チームのほとんどは、現場で働いており、農業の経験者です。そのため、私たちは他にはないユニークな存在であり、農家への農業投入物、生産物、作物のアドバイス、クレジットが混在するビジネスモデルとなっています。

【筆者捕捉】よくあるインドのアグリテックでは、単に農家の息子や関係者という肩書を使っただけで、実際は十分な農業指導技術もなく、eコマースのように農作物を右から左に流して、やっていることはミドルマン(仲介業者)のように新たな搾取モデルになってしまっている例もあるので、Freshokartzのモデルはとことん現場にこだわっていると言えます。

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(Freshokartzのセンター写真、筆者撮影)

── 今後の短期&長期的な戦略について教えてください。

まずは、今後2年間で約200万人のクライアントとしての農家を増やし、現在の30カ所から、100カ所へとセンターを増設します。更に、今後5年間で1,000万人の農家を対象に、政府と緊密に連携しながら、作物保険など農業に関する諸々のサービスを提供していく予定です。

── 最後の質問となります、海外の企業との協業関心はありますか?

はい、もちろんです。私たちは、農家向けの製品を開発しており、これを世界中で発売することができます。すでに日本の企業と提携しているので、今後、日本での活動に向けて相乗効果を発揮することができます。

【筆者補足】

私が所属しているサグリ株式会社とFreshokartzは2019年から提携しており、ラジャスタン州を中心にマイクロファイナンスのパイロットや小麦の収量改善・タンパク質含有量の改善といったプロジェクトを実施しています。

参考リンク:「アジアDX等新規事業創造推進支援事業費補助金(日印経済産業協力事業)」にかかわる採択事業者について | 2020年 - お知らせ - お知らせ・記者発表 - ジェトロ (jetro.go.jp)

(Freshokartz Founders近影、Mr. Rajendra提供)

Mr. Rajendra, インタビューへのご協力、ありがとうございました!

引き続き現場目線でのアグリテック企業を紹介していきますので、乞うご期待くださいませ。

もっと情報が欲しい方はまでご連絡くださいませ!

【Freshokartz基本情報】

設立:2016年

業界:アグリテック

本社:インド共和国ラジャスタン州ジャイプール

Linkedin:FreshoKartz Agri: 概要 | LinkedIn

Founder:Mr. Rajendra Lora, Ms. Chandrakanta

 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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