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アルゼンチンと、タンゴな人々

西原なつき|アルゼンチン

侵入者はどっち?カピバラ大繁殖事件から見えるアルゼンチンの社会格差問題

そしてカピバラはどこへゆく?

さて、カピバラの問題に戻ります。
ノルデルタ地区の管理団体によると、人々の居住地区へのカピバラの侵入は、昨年だけで17%増加していると分析しています。住民曰く、「10年前からこれらの動物と共存してきたが、2019年からはその数が爆発的に増えた」と説明しています。
専門家によると、かなりの数の動物をすぐに撤去しないと、1年後、2年後、3年後、4年後にそれぞれ2倍、6倍になる可能性があるというリスクを抱えている、ということなのです。このような状況に対処するため、彼らはブエノスアイレス州の政府の介入を求めました。


環境問題の研究者たちや、自然科学の教授はこの事態について、このように警告しています。

「ここ数年、伐採されていなかった地域が大幅に破壊され、建設のための森林伐採が行われ、カピバラは新しい空間を求めて住宅のある地域に移動せざるを得なくなっています。(María José Corriale氏)」

「野生動物へのダメージは、人間の介入によってすでに引き起こされています。自然は自らを律するものであり、人間が干渉するとバランスが崩れてしまいます。(Adelmar Funk 氏)」


短期的解決策として、コリアーレ氏はこのように提案しています。
「現在最初に解決すべき問題のひとつは、カピバラとの衝突による交通事故を最小限に抑えることです。動物が道路を横切ることが知られている地域では速度を落とすこと、または、カピバラが都市部に入り込む特定の場所を認識することで、カピバラが通過できないように金網を設置することができるでしょう。」
ファンク氏は、「幾つかの写真を見た限りでは、カピバラと行動を共にしている人たちがいます」と続けます。「今は逆のことをしなければならないでしょう。共存するわけでもなく、また動物を町から撃退ということでもなく、カピバラが別の目的地を探すような緻密な計画を立てなければならないのです。」


果たして、罪のない動物たちはどうなってしまうのでしょうか。
カピバラの増殖は、一部の地元住民の悩みの種を越え、未開の自然の大規模な都市化を進めることに待ったをかけると同時に、環境を尊重せずに作られた排他的な楽園に孤立しようとするお金持ちの問題という隠された議論を呼び起こしたのでした。

(瞬く間に拡散された、マテ茶を飲むCarpincho-カピバラの動画。突如庶民側のシンボル的存在になったカピバラさんは、SNS上でも社会風刺で大忙しです。個人的に一番のヒットは、となりのトトロの画像がカピバラに置き換えられた「となりのカルピンチョ」というコラージュ・・・みんなこんなのよく考え付くなぁといつも感心します。)

 

Profile

著者プロフィール
西原なつき

バンドネオン奏者。"悪魔の楽器"と呼ばれるその独特の音色に、雷に打たれたような衝撃を受け22歳で楽器を始める。2年後の2014年よりブエノスアイレス在住。同市立タンゴ学校オーケストラを卒業後、タンゴショーや様々なプロジェクトでの演奏、また作編曲家としても活動する。現地でも珍しいバンドネオン弾き語りにも挑戦するなど、アルゼンチンタンゴの真髄に近づくべく、修行中。

Webサイト:Mi bandoneon y yo

Instagram :@natsuki_nishihara

Twitter:@bandoneona

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