World Voice

powerd_by_nw

日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

「コーヒー産業はコロンビアの経済回復の要」2021年コーヒー産業振り返り

©️iStock - andresr

毎年12月の頭に行われる『コーヒー国内会議(Congreso Nacional de Cafeteros)』が今年も開催されました。

89回目を迎える今年の国内会議のスローガンは「コロンビアコーヒーはより高品質でよりサステイナブル」

会議は昨年に続き今年もバーチャルで開催され、4日間に渡る会議の様子はYouTubeでライブ配信されました。この会議ではコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)とコロンビア政府が中心となり、その年一年の振り返りや今後の課題、解決策などが話し合われます。

昨年度の会議の内容は去年12月のブログにまとめてありますのでぜひ目を通してみてください。

 

生産量ダウンも生産額は大幅アップ

昨年から続くラニーニャ現象の影響で、今年はコロンビアの多くの地域で雨が多い一年となりました。この長雨はコーヒーの生産量を減少させる大きな原因となり、今年度のコーヒー生産量は1340万袋(60kg/袋)と昨年度より7%減少する見込みとなっています。

一方日本でも話題になっているコーヒー価格の高騰は、コロンビアのコーヒー産業にとっては大きなプラスとなりました。

昨年度ブラジルの干ばつによる不作の影響でコロンビアのコーヒー生産額は歴代最高値を記録しましたが、今年度は更にブラジルの霜害や港湾の混乱などの様々な理由が重なりコーヒーの市場価格が更に高騰。その結果、生産額は昨年度をさらに上回る9,9兆ペソにのぼると予測されています。(前年比23%アップ)

 

肥料価格の安定を

この会議の初日にはイヴァン・ドゥケ大統領もスピーチを行い、コーヒーをはじめとする農産物の輸出状況や、コーヒー産業の持続可能性、貧困層が集中している農産地に対して行った支援について触れられました。それに加え「小規模農家を対象に肥料の価格を安定させる法律案」が次の国会で承認される予定であることを発表し、来年は生産量1500万袋の壁を超えることを目標として掲げています。

今年コーヒーの市場価格はこれまで見たこともない数字を叩き出し、ようやく長い間貧困に苦しんできたコーヒー農家の収入が安定する兆しが見えてきました。しかし、市場価格と共に上昇傾向にあるのが肥料の価格。安定した供給量と品質を保つために肥料は必要不可欠となりますが、肥料の価格は例年より80%も値上がりしているのです。更に食料品や日用品も今年に入って急に値上がりし、コーヒー価格の上昇に合わせて労働者の賃金も上がったため、コーヒー農家は支出の大幅上昇に頭を抱えています。この法律が正式に制定され施行されれば、それはコロンビアのコーヒー農家にとって大きな救いとなるでしょう。

IMG_1187.PNG

©️YouTube - Palabras del Presidente Iván Duque en el 89 Congreso Nacional de Cafeteros - 30 de noviembre de 2021

 

新しい市場の拡大

会議2日目にはコロンビアコーヒー輸出量第3位である日本と、近年コーヒー需要が急激に伸びている中国の2カ国のオフィスと繋ぎ、アジアへの市場拡大の可能性について触れられました。数年前からコロンビアは中国市場拡大に力を入れてきましたが、その成果が実を結び今年中国へ輸出されたコロンビアコーヒーの量は112%も上昇。そしてこの数字はこれから更に伸びていくことが予測されます。

IMG_1182.PNG

©️YouTube - Al Día con el Congreso - Día 2

  

会議3日目にコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)のロベルト・ベレス代表はジェンダー平等への取り組みとして海外向けに女性コーヒー生産者のブランドをリリースすることを発表しました。コロンビアのコーヒー生産者の31%は女性ですが、実際にコーヒーを売ってお金を手にしている80〜90%が男性生産者とのデータがあります。更にコロンビアの田舎に住む女性は自分の収入のうち90%を子供の教育や家族の生活にあてているとも言われており、家のことや子供の世話は女性の役割という考えが根強く残っているのです。FNCが女性生産者から直接コーヒーを買い取ることで女性の収入を増やし、自立の支援をすることが目的とされています。

スクリーンショット 2021-12-08 午後7.19.24.png

©️YouTube - Al Día con el Congreso - Día 4

そして今年コロンビアが力を入れてきたのがコーヒーの国内市場の拡大です。パンデミックの影響で家でコーヒーを楽しむ人が増えてきたこのタイミングで、FNCは農家から消費者が直接コーヒーを購入できるバーチャルショップをオープンさせました。その他にもウェブページ上でコーヒーの煎れ方の講座を開いたりと国内の高品質コーヒーの販売に力を入れたのです。その結果12歳以上のコロンビア人が1年に消費するコーヒーの量は2,7kgから3,4kgに増えました。

   

コーヒー産業は経済回復の要

財務省のホセ・マヌエル・レストレポ大臣は「コロンビアのコーヒー産業は依然として国の経済回復のアロマであり続けている(大切である)」と表現し、コロンビアにおけるコーヒー産業の重要性を改めて強調しました。

しかしコーヒー栽培は気候変動の影響や労働条件の悪さなどから持続可能性のある農業とは言い切れないのが現実。以前コロンビア政府とコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)がコーヒー栽培の持続可能性に関する方針を示した全国評議会(CONPES)の計画書を発表したというブログを書きましたが、こういった政府の支援はコーヒー農家に限らずコロンビアの将来のためにも必要不可欠だと感じています。

これから価格高騰の要因が解消され始め、市場価格は下落していく可能性は十分考えられますが、果たして来年の90回目の国内会議では今年を超える様な更なる素晴らしいニュースを耳にすることができるのでしょうか。

スクリーンショット 2021-12-08 午後7.26.56.png

©️YouTube - Al Día con el Congreso - Día 4

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

Archives

このブロガーの記事

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ