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魅惑の摩天楼、香港フォト通信

マリエ|香港

やめてやめて、逮捕されるぞ! 心配しなくていい事をハラハラして見た東京五輪

(画像出展:unsplash free photo)

開催すべきか否かぎりぎりまで賛否両論だった東京オリンピック。

香港は大会が中止になった場合、全額払い戻しという条件で電通から放映権を買い取った。中止になるかもしれないというオプションは頭の中にあるんだな、どうなるんだろうと直前までやきもきしたが、無事にオリンピックは始まり終了した。

香港ではオリンピックの様子は連日中継され大変、盛り上がった。

なんと史上初の金メダル1、銀メダル2、銅メダル3、計6つのメダルを香港は勝ち取った。香港の選手の活躍ぶりは厚い雲で覆われた閉塞感漂う今の香港に明るさを呼び込んだ。

■やめてやめて逮捕されるから

フェンシング代表の張家朗選手が決勝へと進んだ! これは大快挙だ。自分の感覚ではオリンピックで日本が金の10個ぐらいは当然取るでしょうって感覚が毎回あったけれど、何十年も1個も金メダルが取れない国って沢山有る。香港もそう。香港が最後に金メダルを取ったのは中国返還前のアトランタオリンピックでのセーリング。

1996年以来の悲願の金メダルに王手がかかったのだから当然、大盛り上がりになる。

フェンシング決勝の様子を流すショッピングセンターの大型スクリーンの前では大勢が集まっていた。そしてついに張家朗選手が金メダルを取ったときにギャラリーは沸いた、感動にむせた。

私もちょっと目頭が熱くなった。メダル授与式になって嬉しいはずが、一抹の不安がこみ上げてきた。

「あれはやめて、やめて、絶対やるな、逮捕されるから」と心の中で叫んだ。

あれとは中国国歌にブーイングをすることだ。香港では去年から国歌条例法が施行され国歌演奏中にブーイングをしたら国歌を侮辱したとして逮捕である。

香港の選手がメダルを取ると中国の国歌を流すことになっている。

そしてフェンシングの張選手の金メダルの授与式が始まった。

国歌が流される前から、なんでこんなにドカドカしないといけないんだと思った。途中から誰かが(中国)国歌にブーイングをした。それに続いて大勢がブーイングをした。まずい、とうとう起きてしまった。

それに続いて「私達は香港人だ、チャチャチャ (We are Hong Kong)」

とギャラリーの大部分が連呼しだした。

後日、最初にブーイングを促した男性が国歌侮辱罪で逮捕された。そしてブーイングをした観客を警察は監視カメラで割り出しているという。

【動画】香港選手の金メダル獲得を見て「We Are Hong Kong」を連呼する香港の人々

■「香港人加油(頑張ろう!)」も微妙

私達が日本を応援するとき「ニッポン、チャチャチャ」とやる。当然香港人だってニッポン、チャチャチャに相当する「We are HONG KONG チャチャチャ」をやる。時として微妙である。「We are China」 だったら何も問題はないんだけれどね。

2019年の抗議活動で盛んに叫ばれた掛けことばがある。

「香港人」と誰かが言い、まわりが「加油(がんばろう!)」と続く。香港人ガンバ、なんてことはない言葉だけれど、中央政府への抵抗の意味で使われたから、いま人が集まって「香港人加油」は時と場所を選ぶ必要がある。

オリンピックの観戦という場で、動機は選手の応援だから怪しまれないから、ここぞとばかりあの場では「香港人加油」って言えたんだと思う。

■無観客で良かったのかもしれない

hkolympics02.jpg(筆者撮影)

今回、観客無しという異例のオリンピックになった。観客の声援はオリンピックを盛り上げる重要なファクターの一つだと今更ながら理解した。それも私が生きている間で最後であろうオリンピックがよりによってコロナのせいで無観客。寂しすぎる。

でもよくよく考えると、香港在住者の視点からは無観客で良かったのかもしれないと今は思っている。

香港人は非常に日本が好きで、日本にガンガン旅行に行く。2019年度日本を訪れた香港人は229万人。訪日外国観光客の1位は香港人

そんな香港人のこと、無観客オリンピックでなかったら、さぞかし大挙して訪れたであろう。

そしてあの金メダルの授与式の東京というリアルの場で、世界中にライブで中継される事を意図して国歌斉唱時にブーイングが起きていたかもしれない。続いて我々は香港だ、チャチャチャ。

そしてそれはビデオカメラでチェックされ、応援団が香港空港到着と同時に逮捕劇となっていたかもしれない。だから無観客で良かった面もあったと今は思っている。

今回は純粋に競技以外のことでハラハラさせられた変なオリンピックだった。

 

Profile

著者プロフィール
マリエ

香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。

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