コラム

世界の銃の半分を所有するアメリカ人、お気に入りの小型ナイフも持ち歩けない日本に思うこと

2021年04月15日(木)11時57分
トニー・ラズロ

数分で何十人も殺せるこの凶器は、多くの州では免許なしで簡単に買える。身元調査なしでも買える。注文したその日に持って帰って、「活用」できる。

アメリカ史に残るどちらもコロラド州の銃乱射事件(1999年のコロンバイン高校、2012年のオーロラの映画館)を受け、18年に同州ボールダーはAR15型の所持などを禁止しようとした。だが銃保持擁護団体などが、その措置を違法と訴える訴訟を起こした。偶然にも22日の事件の1週間前に団体側が勝訴し、いまボールダーはAR15型が使える町に戻っている。

事件後、全米ライフル協会(NRA)やコロラド州選出のローレン・ボーベルト下院議員、影響力のあるテッド・クルーズ上院議員などがすぐさま銃器所持の擁護を表明し、規制強化反対の意思を示している。

一刻も早く改善されるべき状況が改善されそうにない。日本ではポケットナイフでも携帯するのが困難。アメリカの多くの地域では半自動小銃を身元確認や免許なしで買い、それを抱えて町を歩ける。その両極端のどこかで、僕はただ気が向いたときにサンドイッチを作りたい。

NW_Tony_Laszlo.jpgトニー・ラズロ
TONY LÁSZLÓ
1960年、米ニュージャージー州生まれ。1985年から日本を拠点にジャーナリスト、講師として活動。コミックエッセー『ダーリンは外国人』(小栗左多里&トニー・ラズロ)の主人公。

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