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『歩けない』足にまつわるトラブルに、新たな選択肢が生まれる。

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2022年3月22日(火)11時00分

<足病変(足に傷や腫れなどの病的な変化が見られる状態)のトラブルは様々ですが、足の「血管」による病気が注目を集めています。難治性の潰瘍や壊死の原因となる「閉塞性動脈硬化症」や「バージャー病」の治療に選択肢も増えるなど、転換期を迎えた血管医学について、血管医学研究機構・事務局長の太田祥江が、理事の森下氏と佐田氏に話を聞きます。>

歩行が困難になる前に、全身血管の検査を推奨。

太田:血管医学研究機構では「血管」が原因でおこる病気のメカニズムや再生治療(新しい治療)について積極的に情報提供を行っています。改めて「血管医学研究」についてご説明をお願いします。

森下:「人は血管とともに老いる」という有名な言葉があります。「血管医学研究」とは、血管から、老化具合を知るという医学研究を指します。血管の老化が人の病気を引き起こすため、「血管を知る」ということが寿命を知るということにもつながるからです。血管が硬くなる動脈硬化や、新しい血管を作りながら増殖する進行がんへの対応など、血管医学は非常に重要なものです。

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太田:動脈硬化が起こりやすい箇所はあるのでしょうか。血管医学領域から全身をめぐる血管のケアについて教えてください。

森下:動脈硬化が原因である脳梗塞や心筋梗塞は、日本人の死因の25%を占めます。心臓や脳の血管でおこる動脈硬化を予防することが重要で、生活習慣病といわれる高血圧、高脂血症、糖尿病の治療で可能です。あまり知られていませんが、足の血管でも動脈硬化は起こります。足の心筋梗塞のような状態で、200メートル程度歩くと、痛くて歩けなくなるといった症状が知られています。これらの症状が現れ始めたら、心臓や脳の血管でも動脈硬化が進んでいる可能性があります。また、バージャー病は、全身の血管の炎症の病気で、通常は動脈硬化が起こりにくい手にも潰瘍のような治りにくい傷ができることがあり、ひどい場合には指先の切断にいたります。喫煙している若い男性はリスクが高く、指先の痺れや冷感がみられる場合は注意が必要です。

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太田:動脈硬化が原因の「足の血行障害」では、どのような事に留意し、治療を進めればよいのでしょうか。

佐田:動脈硬化は年配の方に多いのですが、ほとんどの方が足の不調がまさか血管の病気が原因だとは思いません。「足が冷たい」「だるくなった」といった症状から受診されますが、適切な検査を受けることで、動脈硬化による血行障害が原因といったことが判明すれば、早期に治療ができるわけです。

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森下:心臓で血行障害がおこると狭心症や心筋梗塞が起こります。足の場合にも徐々に症状が悪化してきます。最初はちょっとした痺れや痛みですが、ひどくなると信号を渡りきれなくなるといった症状になり、さらに悪化するとじっとしていても痛いといった症状が出ます。最悪の場合は潰瘍(かいよう)、壊疽(えそ)に至ります。患者さんの生活の質(QOL)に影響する最悪な状況を回避するためにも早期治療が重要です。透析をしている方は、突然血栓ができるケースもあるので予防や早期の検査が大切です。

佐田:生活習慣病から複合的に罹患するケースは圧倒的に閉塞性動脈硬化症が多いです。ただし血管の炎症、全身の炎症が影響してくるバージャー病では、比較的若い男性で、喫煙している方が多い。足の血管が痛んでいる場合、脳や心臓の血管も同時に悪くなっているケースが多いので全身を診ることが大切です。

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