最新記事

東京五輪

「メダル1位はアメリカ!?」中国で非難続出

China Irked by U.S. Medal Table Ranking as Country Leads in Golds

2021年8月5日(木)17時35分
ジョン・フェン、ロブ・ミント
東京五輪、中国の管晨辰、唐茜靖、アメリカのシモーネ・バイルズ

体操女子種目別平均台では中国の唐茜靖が銀、管晨辰が金、アメリカのシモーネ・バイルズが銅メダルを獲得(左から、8月3日) Danielle Parhizkaran-USA TODAY Sports

<東京五輪でのメダルの「数え方」をめぐり、米中「場外戦」が勃発している>

東京オリンピックが終盤に差し掛かるなか、何かにつけて張り合うアメリカと中国もメダルラッシュに沸いている。こうしたなか、中国ではファンやコメンテーターがSNS上で、アメリカのメダルの「数え方」に文句をつけている。

米メディアはメダルの獲得総数で国別のランキングを報じているため、中国はアメリカよりも5つ多くの金メダルを獲得しているのに「2位」とされているからだ(日本時間8月5日16時15分現在、以下同)。

アメリカのランキング方式では、国別メダル獲得数はアメリカが1位で計85個。2位が中国の71個、3位がロシア・オリンピック委員会の55個だ。

この数え方に中国などの五輪ウォッチャーたちが不満を抱いており、SNSでは、米メディアによる悪意に基づく偏向報道だと非難する声が上がっている。

8月3日には、体操女子種目別平均台で中国の管晨辰と唐茜靖がアメリカのシモーネ・バイルズに競り勝ち、金と銀を獲得(バイルズは銅メダル)。これを受けて、ネット上の不満の声はさらに高まった。

金メダル獲得数では、中国が現在32個でトップ。2位がアメリカの27個で、3位が開催国である日本の21個だ。

アメリカが異例、「金メダル獲得数」が世界標準

アメリカのメダル獲得数表は世界のほかの国・地域と比べて異例なだけでなく、IOC(国際オリンピック委員会)の方式とも異なる。IOCのメダル獲得数表は、金メダルの獲得数を基にランキングを作成しているが、獲得総数順に並べ替えることもできるようになっている。

統計調査会社スタティスタが作成した下図では、2021年8月4日時点の東京オリンピックの国別メダル獲得数(獲得総数、メダル別獲得数)がひと目で分かる。

webSports-20210805-chart.png

獲得総数による数え方を用いているのは、アメリカのメディアだけではない(メディアではNBC、ヤフー・スポーツ、ワシントン・ポストなど多数が採用)。米オリンピック・パラリンピック委員会も、メダルの獲得総数を基準にした数え方を用いている。

一方でイギリスのオリンピック委員会は、IOC方式を採用している。

ウェブサイトに両方式の獲得数表を掲載しているニューヨーク・タイムズは、この問題について次のように記している。

「8月4日の午前7時30分(米東部時間)現在、金メダルの獲得数を基準にしたオリンピックの公式メダル獲得数表では、中国がトップだ。世界の多くの国はこの数え方を採用しており、銀メダルと銅メダルの獲得数については、金メダル獲得数が同じ国を区分するためのみに使っている」

「メダル獲得総数を基準にしたもう一つの数え方では、現時点でアメリカがトップだ。ニューヨーク・タイムズを含むアメリカの報道機関は、この数え方を用いることが多い」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中