最新記事

中国

中国:未成年者のゲームは週3時間まで 極端なネット締め付けどこまで

China Limits Kids to Playing Online Games to 1 Designated Hour, 3 Times a Week

2021年8月31日(火)16時25分
ゾーイ・ストロゼウスキ
ゲームにはまる子供イメージ

当局はゲームを「精神的アヘン」と批判するが、規制の理由はそれだけではない MarsYu-iStock

<中国のオンラインゲーム大手の自己規制も虚しく、当局が鉄槌を下した>

中国の子どもたちがオンラインゲームをしていい時間は、週3日、計3時間までに限られることになったと、AP通信が報じた。中国当局によるテクノロジー業界全般への締め付けの一環で、これまでで最も厳しい規制になる。

国家新聞出版署が発令した通知によると、9月1日以降、中国の未成年者がオンラインゲームをプレイできるのは毎週金、土、日の3日間、それも午後8時〜9時までの1時間だけ。祝日については別途定めるという。

未成年者は原則、週3時間しかゲームができない。2019年に施行されたこれまでの規則では、平日が1日1時間半まで、祝日は3時間までという決まりだった、とAP通信は伝えている。

新たな規制は、中国でも最大級のテクノロジー系企業の一部に影響を与えている。世界的に大人気のモバイルゲーム『王者栄耀』を擁するゲーム大手の騰訊(テンセント)や、ゲーム会社の網易(ネットイース)もそうだ。

テンセントの株価は、規制当局による発表前の8月30日、終値が465.80香港ドルと、前日から0.6%下落した。同社の時価総額は5730億米ドルで、2月のピーク時と比較すると3000億ドル以上下落している。この下落幅は、ナイキやファイザーの時価総額がすべて吹き飛ぶほどの数字だ。

NASDAQに上場しているネットイースの株価は、取引開始時点で前日比で9%下落した。

オンラインは学習もダメ

中国の未成年者ゲーム規制は、テクノロジー系企業に対する締め付けの一環だ。背景には、メッセージングや決済、ゲームなどのサービスを広範に提供するこれらの企業がもつ社会に対する影響力が過大になっているという懸念がある。

テンセントは8月、未成年者のゲーム時間を平日は1日1時間、休日は1日2時間に制限し、12歳未満の子どもについてはゲーム内でのアイテム購入を禁じる自主規制措置を取った。国営新華社系のメディアが8月初め、ゲームは「精神的アヘン」と批判した数時間後のことだ。

規制当局は8月30日の通知で、各企業に規制の順守を徹底させるため、今後はオンラインゲーム企業に対する管理監督を強化し、査察の頻度を増やすとしている。

規制強化の対象はゲームだけではない。

ここ数カ月、中国当局の主なターゲットは電子商取引とオンラインラーニング企業だった。7月には、学校の主要科目について学習指導サービスを行う企業に対し、利益を上げることを禁じた。これにより、好未来教育集団(TALエデュケーション・グループ)や高途(ガオトゥー・テックエデュ)といったオンラインラーニング企業では、数十億単位の時価総額が一瞬にして吹き飛んだ。
(翻訳:ガリレオ)

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中