最新記事

南米

ブラジル、ワクチン調達に新たな汚職疑惑 ボルソナロ弾劾求める声も

2021年7月1日(木)10時12分
ブラジルのボルソナロ大統領

ブラジルのボルソナロ大統領は6月30日、新型コロナウイルスワクチン購入契約交渉で賄賂を求めたと報じられた保健省の高官を解任した。ブラジリアで29日撮影(2021年 ロイター/Adriano Machado)

ブラジルのボルソナロ大統領は30日、新型コロナウイルスワクチン購入契約交渉で賄賂を求めたと報じられた保健省の高官を解任した。これとは別に、インドのバーラト・バイオテックのワクチン調達を巡る汚職疑惑も浮上しており、大統領の弾劾を求める声が上がっている。

ロイターが確認した資料によると、連邦検察および警察当局は同日、バーラト製ワクチン購入契約に関する刑事捜査を開始。保健省の当局者やボルソナロ派の議員らが同社製ワクチン調達に向け、通常より前倒しで認可審査を行い、過剰な対価を支払うよう仕向けた疑いが出ている。ブラジルでは50万人以上がコロナ感染で死亡しており、ワクチン接種の遅れに市民の不満が高まっている。

超党派の議員や市民団体、弁護士らは同日、ボルソナロ氏の弾劾を求める請願書を議会に共同で提出。これまでに同様の請願書が100件以上提出されているが、議会の下院議長は対応を見送ってきた。

ボルソナロ氏とバーラト社は不正を否定。ボルソナロ氏は汚職疑惑を巡る上院の調査について「われわれに触れることはできない」と述べてけん制した。

保健省の物流管理担当責任者、ロベルト・フェレイラ・ディアス氏の解任についてはコメントしなかった。

ブラジル政府は29日、バーラトとの新型コロナワクチン購入契約を停止。契約額は16億レアル(3億2100万ドル)に上る。保健当局は30日に、同ワクチンの緊急使用許可を停止した。ワクチン販売を受託した会社が提出した資料に不備があったとの理由を挙げた。

現地紙フォーリャ・デ・サンパウロは29日遅く、医療用品会社の関係者の話として、ディアス氏が会食の席でこれとは別の4億回分のワクチン発注を交渉した際、1回分につき1ドルの賄賂を求めたと報じた。

保健省はディアス氏の解任は29日午前に決まったと説明したが、疑惑には言及しなかった。ディアス氏からコメントは得られていない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界EV販売は年内1700万台に、石油需要はさらに

ビジネス

米3月新築住宅販売、8.8%増の69万3000戸 

ビジネス

円が対ユーロで16年ぶり安値、対ドルでも介入ライン

ワールド

米国は強力な加盟国、大統領選の結果問わず=NATO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中