最新記事

中東

イラン大統領選、反米・保守強硬派のライシ師が当選 無効票で抵抗する市民も

2021年6月21日(月)09時03分
イラン新大統領ライシ師のポスター

イラン大統領選挙で反米・保守強硬派のライシ司法府代表が当選した。写真はライシ師のポスターの周りに集まる支持者。6月19日、テヘランで撮影(2021年 Majid Asgaripour/WANA (West Asia News Agency) via REUTERS)

18日に行われたイラン大統領選挙で、反米・保守強硬派のライシ司法府代表が当選した。内務省が発表した。就任は8月初めとなる。

ライシ師は2019年に最高指導者ハメネイ師に司法府代表に任命された。その数か月後には、1980年代の政治犯処刑や2009年の反政府デモ弾圧に関与した人権侵害で米国が制裁対象としている。

ラハマニファズリ内相が19日テレビで、投票総数は2890万票でライシ師の獲得票は1790万票と明らかにした。投票率は48.8%で過去最低。抗議の意思を示した白票など無効票は370万票にのぼった。

ハメネイ師の後押しを受けた同師の当選は、広く予想されていた。

国営メディアは、自分に投票しなかった人や投票を棄権した人を含め、すべてのイラン国民の大統領になるとのライシ師の決意を報じている。

イランと主要6カ国は2015年のイラン核合意復活に向け協議中。この国を支配する聖職者らは経済の立て直しが政治的命運を左右すると認識しており、ライシ師の勝利が協議に対するイランの姿勢を変えることはないとみられている。

ただ、ライシ師の強硬姿勢が海外からの投資を妨げる可能性を指摘するアナリストもある。

ユーラシアグループのシニアアナリスト、ヘンリー・ローマ氏は「協議が合意に達しても、ライシ師の強硬姿勢で大規模な海外からの投資は限定され、西側からの孤立はさらに進む」との見方を示した。

今回の大統領選では、ハメネイ師の影響力が強い護憲評議会が改革派や穏健派の有力対抗馬を失格としていた。

米国務省の報道官は18日、「イランの人々は、自由で公正な選挙プロセスで自分たちの指導者を選ぶ権利を否定された」と述べている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 2

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子供を「蹴った」年配女性の動画が大炎上 「信じ難いほど傲慢」

  • 3

    あまりの激しさで上半身があらわになる女性も...スーパーで買い物客7人が「大乱闘」を繰り広げる動画が話題に

  • 4

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 5

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 5

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 9

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中