最新記事

中国

米上院の「中国対抗法案」に中国激怒!

2021年4月23日(金)12時16分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
米連邦議会議事堂

米連邦議会議事堂 Erin Scott-REUTERS

4月21日、米上院外交委が「2021年 戦略競争法案」を議決した。CCTVは特集を組み、中国全人代外交委が抗議談話を発表し、中国は対米抗議に燃え上がっている。日米首脳会談共同声明への反応とは対照的だ。

米上院外交委員会が可決した「2021年戦略競争法案」とは?

「2021年 戦略競争法案」は2021年4月8日に米上院外交委員会が提出した「中国対抗法案」で、バイデン大統領が「中国は競争相手だ」と言ったのに対し、それならその「競争戦略」を明文化せよと、バイデン大統領に迫ったものである。対中強硬政策は共和党と民主党の唯一の共通した政策であり、4月21日に米上院外交委員会で可決された。中国に対抗することを目的としている。

4月21日のコラム<「米軍は中国軍より弱い」とアメリカが主張する狙いは?>に書いた通り、同法案では中国の台頭に対抗してアメリカのプレゼンスを強化するために、インド太平洋における軍事的投資を優先することを先ず強調している。

と同時に際立っているのは、台湾との関係強化を訴えていることだ。

283ページにわたる長文なので読解は大変だが、たとえば同法の212条には「アメリカと台湾とのパートナーシップの強化」が謳われており、以下のような政策が列挙されている(8項目あるが代表的なものだけ拾い上げる)。

●台湾をアメリカのインド太平洋戦略の重要な一部として認識すること。

●台湾の防衛戦略に十分な資源を投入するために、(米軍の)防衛費を増やすこと。

●台湾の自衛能力、特に、対艦、沿岸防衛、対機甲、防空、海底戦、高度な指揮統制、通信、コンピュータ、情報、監視、偵察、弾力性のある指揮統制能力などの非対称能力を開発し、軍に統合するための努力を強化するために、台湾への防衛物品の定期的な移転を行うこと。

●国連、世界保健総会、国際民間航空機関、国際刑事警察機構、その他の国際機関への台湾の有意義な参加を適宜提唱し、積極的に推進すること。

●アメリカ、台湾、およびその他の志を同じくするパートナー間の有意義な協力を促進すること。

これらは中国(北京政府)がひっくり返って激怒する内容ばかりだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルのミサイルがイラン拠点直撃、空港で爆発音

ワールド

ロシア凍結資産、G7がウクライナ融資の担保に活用検

ビジネス

リスクオフ加速、日経1200円超安 イスラエルがイ

ワールド

トランプ氏口止め事件公判、陪審員12人選任 22日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中