最新記事

大量発生

今年4月以降、米国で数十億匹のセミが発生する、との予測

2021年3月16日(火)18時30分
松岡由希子

13年か17年ごとに一斉に成虫となって発生する周期ゼミ(素数ゼミ) Youtube

<13年または17年ごとに一斉に成虫となって大量発生する周期ゼミ(素数ゼミ)が、今年4月以降に北米東部で発生すると予想されている...... >

周期ゼミ(素数ゼミ)とは、13年間または17年間、地中で幼虫として過ごし、13年または17年ごとに一斉に成虫となって大量発生するセミ科マギキカダ属の総称である。この現象が確認されているのは、世界中で北米東部のみだ。

17年ゼミと13年ゼミが、200以上の郡で発生すると予測

周期ゼミは、発生する年によって「ブルード」と呼ばれる年級群に分けられる。17年ゼミはブルードI〜XVII(1〜17)、13年ゼミはブルードXVIII〜XXX(18〜30)というローマ数字の番号が割りあてられ、このうち、17年ゼミの12ブルード、13年ゼミの3ブルードの計15のブルードが現存する。なお、一つの場所には一つのブルードしか生息しない。

2020年の初夏に、17年ゼミの「ブルードIX」がバージニア州南西部やウェストバージニア州、ノースカロライナ州で発生したのに続き、2021年には、規模がより大きい17年ゼミの「ブルードX」が、ペンシルベニア州、ワシントンD.C.、メリーランド州、デラウェア州、インディアナ州、ジョージア州など、中部大西洋沿岸から中西部、南部にわたる200以上の郡で発生すると予測されている。

file-20210310-16.jpg

University of Connecticut, CC BY-ND

100デシベル相当の鳴き声を発する成虫が1エーカーあたり150万匹発生し、数週間にわたって、樹木が茂った郊外でセミの鳴き声が大いに鳴り響く。成虫は交尾をすると、メスが大量の卵を木の枝に産みつけ、やがて死ぬ。

周期ゼミをめぐる謎は多い

コネチカット大学の研究チームでは、2021年の「ブルードX」の追跡調査を行い、公式ウェブサイトでその分布状況をマップ化して公開する計画だ。一般市民もこの調査に参加でき、モバイルアプリ「シケイダ・サファリ」を用いて目撃したセミの画像を投稿すると、このマップに反映される。

周期ゼミについては、13年または17年もの長い幼虫期で何をしているのか、何を食べているのか、なぜ一斉に成虫になるのか、気候変動が生態に影響を及ぼさないのかなど、様々な疑問が提起されてきた。

周期的に一斉に大量発生する要因としては、「密度が低くて交配相手が見つからない『過疎効果』を回避するため」や「キツネや鳥、コウモリなどの捕食者が食べ飽きることで個体群全体の捕食を回避するため」といった説が提唱されている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中