最新記事

音楽

「ポップスの到達点」とまで評されるビヨンセ、今も究極の歌姫に君臨し続ける

The Key to Beyoncé’s Success

2021年10月02日(土)14時54分
シャアン・サチデブ

211005P51_BYS_02.jpg

デビュー当時は「鬼軍曹」の父マシューにしごかれた FRED PROUSERーREUTERS

彼女は文化の女神のパワーと華やかさで、自分の音楽とビジョンに息を吹き込む。リアーナやレディー・ガガ、あるいはマドンナだって、ビヨンセのように2時間半も豊かな声量で歌い続け、15センチヒールで高難度のダンスを踊り続けることはできまい。

そして、無神論者や不可知論者、同性愛者、耽美主義者にとって、女神とは世界中の数百万の観客の前で、最上級の女らしさを醸し出すポーズをシルエットで見せる豊満な歌姫以外にあり得ない。

批評家や学者、声楽の専門家は、圧倒的なエンターテイナーとしてのビヨンセに匹敵する「ポップス界の巨人」として5人の名を挙げることが多い。そのうち4人は故人で、唯一生きているティナ・ターナーも80歳を過ぎている。ちなみに故人の4人はサミー・デービスJrとジェームズ・ブラウン、プリンス、そしてマイケル・ジャクソンだ。

「マイケルの正統な後継者」

「ビヨンセはある意味、マイケル・ジャクソンの正統な継承者だ」と言うのは、ニューヨーク大学録音音楽研究所のジェイソン・キング所長。マイケルはステージで放つ独特なオーラ、ダンス、ボーカル、視覚効果の融合で、まさしく「キング・オブ・ポップ」となった。とはいえ、彼の栄光には虐待疑惑が影を落としている。

だが「父親との虐待的な関係がなければ、マイケル・ジャクソンはあのようなパフォーマーにならなかっただろう」と、バークリー音楽院のリンダ・バリロ准教授(声楽)は言う。「ビヨンセの状況はそれほど極端ではなかったと思うが、スタミナや不屈の精神、意欲、そして勤勉さを獲得する上で、彼女の父親が何らかの役割を果たしたのは確かだ」

ビヨンセの父マシュー・ノウルズが時に、マイケルの父ジョー・ジャクソンと比較されるのは、ある意味自然なことかもしれない。

しかし厳し過ぎる暴君だったジョー・ジャクソンと違って、ノウルズはむしろ「鬼軍曹」のタイプだった。彼は愛娘を含む「デスティニーズ・チャイルド」のメンバーを早朝にたたき起こし、歌いながら公園を延々と走らせるなどの訓練を課していたという。

だから「私は音楽業界の誰よりも努力してきた」というビヨンセの言葉は、単なる思い上がりではなく事実なのだろう。彼女は2013年にGQ誌で、ショーの前には「アスリート並みの準備をする」と語っていた。「試合前のアスリートは相手だけでなく、自分自身のプレーもじっくり分析する。私も同じ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米テスラ、従業員の解雇費用に3億5000万ドル超計

ワールド

中国の産業スパイ活動に警戒すべき、独情報機関が国内

ワールド

バイデン氏、ウクライナ支援法案に署名 数時間以内に

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    ミーガン・フォックスの「すっぴん」に「誰これ?」..…

  • 2

    サッチャーから気鋭の記者まで演じ、「Gスポット」を…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    なぜ女性はクラウドファンディングの資金調達に成功…

  • 5

    「高慢な態度に失望」...エリザベス女王とヘンリー王…

  • 1

    メーガン妃から「ロイヤルいちごジャム」を受け取っ…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    シャーロット王女の「プロフェッショナルぶり」に賞…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    メーガン妃は「努力を感じさせない魅力がお見事」とS…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    メーガン妃から「ロイヤルいちごジャム」を受け取っ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が愛した日本アニメ30

特集:世界が愛した日本アニメ30

2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている