最新記事

働き方

話題のあのバナナジュース専門店は、ファイナンシャルプランナーの副業だった

2021年10月4日(月)15時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
バナナ

Antonio Jarosso-iStock.

<全国で店舗数が急拡大中の「まがりDEバナナ」は、実はひとりのファイナンシャルプランナーが始めたアドオン型のFCビジネス。ここから得られる、副業を成功させるヒントとは>

ベストセラー『アウトルック最速仕事術』(ダイヤモンド社)の著者である森新(もり・あらた)氏は、会社員でありながら、業務生産性を高める仕事術を発信しており、いわば「副業のプロ」でもある。

働き方が多様化し始め、「副業解禁」への注目も高まるなか、森氏は新著『普通の会社員のための超副業力』(CCCメディアハウス)を上梓。

失敗しやすい副業とは何か、どうやって競争を回避するか、本業と両立させるために時間をどう作るか、同僚や上司に「本業をおろそかしている」と言われたらどうするか......。

豊富な実例も交え、副業の思考と実践法を記した本書から一部を抜粋し、2回に分けて掲載する。今回は第2回。

※第1回:年収500万円と合計年収500万円、どちらを選ぶか?

◇ ◇ ◇

副業バナナジュース屋さん、87.7千万円を得る!?

「無形物ビジネスのほうが、時間をコントロールしやすい」とお伝えしてきましたが、有形物でありながら、副業を軌道に乗せただけではなく、大型提携にまで成功した実例を紹介しましょう。

有形物のビジネスは一般的には、仕入れの初期投資が必要になることや、売買差益を得るのに時間差があることで、キャッシュフロー管理が必要となります。また、相場の監視も定期的に必要となるため、性格や本業の働き方によっては向かないケースもあるかもしれません(長期投資資金や初期投資資金が潤沢にあるケースは除く)。

しかし、これらのボトルネックをアイデアで見事に打開した人がいるのです。

新型コロナウイルスで窮地に陥った飲食店向けに、アドオン型のFCビジネスを構築して展開した「まがりDEバナナ」前田晃介さん(本業:ファイナンシャルプランナー、副業:バナナジュース屋さん)の事例です。

前田さんは、新型コロナウイルスに伴い各飲食店がテイクアウトを展開するという「まったく同じ施策」を一斉にやることに、違和感を持っていました。夜の外食産業において、大量の飲食店でシェア争いをするのではなく、「夜以外の時間で、かつ食事以外で」飲食店を支援したほうがよいのではという仮説を立てました。

その結果、どの時間帯でもお客さまが手に取ってくれるソフトドリンクという分野でアドオン型のFCビジネスを考案し、構築したのです。

具体的には、飲食店の夜以外の時間帯に、「まがりDEバナナ」の看板名の通り、「間借り」してバナナジュース店を展開します。これによって、食事のテイクアウトだけでは踏み込めなかった市場への参入を可能としました。

ここまでであれば、「飲食店がこのビジネスモデルを模倣して、FC加盟せずとも自ら実施すればいいのでは?」と思いますよね。しかし、彼のアイデアの価値はこの先にあるのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中