最新記事

株の基礎知識

東証1部が「なくなる」──市場再編で何が変わるか、企業・マーケットの動きが活発になってきた

2021年7月20日(火)06時55分
佐々木達也 ※株の窓口より転載

■グロース市場

最後にグロース市場は、従来のジャスダックとマザーズを合わせたような新興の成長企業を対象とした市場です。

「高い成長可能性を実現するための事業計画」を有している企業を対象としていますが、事業計画の観点から相対的にリスクが高い企業に投資をする機関投資家や個人投資家のための市場とも定義されます。

上場のための基準も3つの市場の中でもっとも緩く、流通株式比率が25%以上、株主数は150人以上、流通株式時価総額は5億円以上などとなっています。

kabumado20210719saihen-5.png

いずれの市場に関しても、上場基準などはこの他にも要件がありますが、ここでは主な要件のみの紹介としています。詳しくはJPXのホームページでご確認ください。

(参照)市場区分見直しの概要 _ 日本取引所グループ

市場再編のスケジュール

2022年4月の市場再編まで1年を切り、取引所と企業の双方で準備が進んでいます。

まず、2021年6月末の時点で新市場の上場基準に適合しているかどうかの判定がされました。これを受けた通知が7月に各上場企業に対して行われ、東証1部に上場している2,191社のうち、約3割に該当する664社がプライム市場の基準に該当しないことがわかりました。

今後9月から12月までの間に、上場会社各社は希望する新市場への上場の申請を行います。このとき、希望する市場の上場基準を満たしていない場合でも、「上場維持基準の適合に向けた計画書」を提示することで上場が認められる場合がある、という経過措置が取られることになっています。

これらの手続きを経て、2022年4月4日(月)、いよいよ東証の新市場への移行がなされます。

市場再編を見据えた企業の動き

市場再編に対して、企業はさまざまな動きを開始しています。特にこれまで東証1部に上場していた企業は、プライム市場とスタンダード市場ではプライム市場のほうがブランドや知名度、流動性などの面でメリットがあると考える企業も少なくありません。

また、市場再編に合わせてTOPIX(東証株価指数)の算出方法も見直されるため、インデックスファンドによる買い需要にも関わることから、個別の株価動向にも大きな影響があるとみられています。

このため、上場基準の当落線に近い企業は早くから動いています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中