最新記事

インタビュー

SNSの申し子・田端信太郎、自著と同じタイトルの「元ネタ」本を熱く語る

2020年3月9日(月)15時00分
朴順梨(ライター)

Newsweek Japan

<「5冊ビジネス書を選べと言われたらリストに入る」と、20年前に出版されたトム・ピーターズ著『ブランド人になれ!』を評するインフルエンサーの田端氏。彼がSNSや著書で発信する強い言葉の原点になった1冊だという>

田端信太郎氏はある時はインフルエンサーとして、またある時は炎上の申し子(?)として、常にSNS上で話題を振りまいてきた。

多くの人の耳目を集めると同時に、強い反発も招いてきた彼の言葉には、実は原点となった本がある。それがトム・ピーターズの『ブランド人になれ!』(仁平和夫・訳、CCCメディアハウス、2000年刊)だ。

田端氏の2018年の著書と同じタイトルなので、「えっ?」と思った人もいるだろう。今から20年前に出版されたこの「元ネタ」について、田端氏に存分に語ってもらった。

ラップみたいな日本語訳がスゴイ

「なくしては新しいものを3冊ぐらい買ったし、Kindleに保存して今も時々読み返している」と語る田端氏がピーターズの『ブランド人になれ!』と出合ったのは、2001年頃のこと。リクルートで働いていた彼が「NEW RING(現ring)」という、新規事業提案制度のためのプロジェクトチームを結成していた頃だ。


きっかけは思い出せないんだけど、著者のトム・ピーターズが『セクシープロジェクトで差をつけろ!』という本も出していて、それを読んで面白いなと思っていました。参考にするというよりは、内容に非常に感銘を受けて。(『ブランド人になれ!』は)その流れで手に取った感じです。

経営コンサルタントのトム・ピーターズは、マッキンゼーを独立後、同僚だったロバート・ウォータマンと共に書いた『エクセレント・カンパニー』(1983年、2003年に復刊された英治出版版はこちら)が世界的なベストセラーとなる。

その彼が「サラリーマン大逆襲作戦」の3部作として発表したのが、『セクシープロジェクトで差をつけろ!』『知能販のプロになれ!』、そして『ブランド人になれ!』だった(いずれも仁平和夫・訳、CCCメディアハウス)。他人に依存せず、自分の力で生きていける人間のことをピーターズは「ブランド人」と呼び、これからの時代を自由にサバイブしていくには、ブランド人になることが必要だと説いている。

『ブランド人になれ!』は、どうしたらブランド人になれるのかについて、50の方法を伝授した1冊だ。田端氏は内容もさることながら、「ページに流れる日本語のリズムにグッときた」と振り返る。


とにかく翻訳の煽り具合とリズムがすごくて。例えば「自分は何になりたいか」という項目に、「あこがれのプロ野球選手、美容師、建築家、シェフ、映画スターのことを考えてみよう。自分にもそういう仕事ができないだろうか。できること、できないことを具体的に考えてみよう。うじうじ悩んでいる同僚と「うじうじ人間を救う会」を結成しよう」ってあるんですけど、「うじうじ人間」とかいちいちリズムがよくて、まさにラップみたいな感じなんです。

短文で言うところと長文で言うところのメリハリも利いていて、非常に影響を受けました。実践アイデアを紹介する「やってみよう」という項目も付いていて、言いっぱなしになっていない点も素晴らしい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米の宇宙非核決議案にロシアが拒否権、国連安保理

ビジネス

ホンダ、旭化成と電池部材の生産で協業 カナダの新工

ビジネス

米AT&T、携帯電話契約者とフリーキャッシュフロー

ワールド

韓国GDP、第1四半期は前期比+1.3%で予想上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中