最新記事

経営

不安に応える 副業のメリットとデメリット

2022年1月26日(水)21時05分
中橋章好 ※経営ノウハウの泉より転載

K-Angle-iStock.

<中小企業こそ副業を検討すべき。社員と企業にとってのメリットとデメリット、副業を許可する際の注意点とは>

社員から「うちの会社は副業できますか?」と聞かれたら、あなたならどう答えますか? 「業務に支障がでるのでは?」などと不安に思うかもしれません。

しかし、世の中の流れは副業を促進する方向になっています。実際に、2018年に厚生労働省より『副業・兼業の促進に関するガイドライン』が改正され、『モデル就業規則』でも副業禁止の内容が削除されています。

本記事では、副業の許可を検討している企業に向けて、企業と社員にとっての副業のメリットとデメリット、そして副業を許可する際の注意点を社労士の筆者が解説します。

企業が副業を許可するメリットとは?

■企業が副業を許可するメリット

会社が副業を許可するメリットは、下記のようなことが挙げられます。

●社員の定着率の向上(離職率の低下)につながる
●リフレッシュ効果により社内の活性化が期待できる
●社外で獲得した知識・スキルを、社内に活かせる
●社員が能動的に動けるようになる
●多様な人材採用が可能になる

■企業が副業を許可するデメリット

社員への副業の許可を検討しているのであれば、デメリットも知っておきたいです。企業の副業許可に対する懸念はどういったものがあるのでしょうか?

日本経済団体連合会の『2020年労働時間等実態調査の集計結果』によると、副業を認めている企業は全体の22%という結果が出ています。さらに、従業員規模別にみると、中小企業の多くが該当する100人~300人未満は15%、100人未満は13%となっています。働き方改革やコロナ禍を経験しているものの、副業の企業文化はあまり進んでいないことが伺えます。

少し前のデータになりますが、独立行政法人『労働政策研究・研修機構の調査』(2018年9月11日公表)によると、「副業・兼業の許可する予定がない」と回答した企業の副業・兼業を許可しない理由(複数回答)は、下記の通りです。


「過重労働となり、本業に支障をきたすため」82.7%
「労働時間の管理・把握が困難になる」45.3%
「職場の従業員の業務負担が増大する懸念があるため」35.2%

その他企業が副業を許可しない理由として、「情報漏えいの心配」や「問題が起こった場合のブランドき損」も考えられます。

ちなみに、筆者も会社員であった時代に、副業をしていました。実家が小さな運送業を営んでいまして、土、日の休日に引っ越し業務の手伝いに行っていました。実家への断る理由も思いつかず、会社への報告義務ということも思いつかず、会社には黙ったまま、副業をしていたことになります。

日頃、事務職で体を動かさない筆者からすると、日曜日の引っ越し副業の翌日の就業日は、体がきつくてぐったりしていた記憶があります。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国「経済指標と国防費に透明性ある」、米司令官発言

ワールド

ジュリアーニ氏らアリゾナ州大陪審が起訴、20年大統

ビジネス

トヨタ、23年度は世界販売・生産が過去最高 HV好

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中